注目会社、3月決算概要ー2

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3月決算の発表が続いている。製品により業績に差が出てきている。
また、退職給付会計の数理計算差異の処理で損益が大幅に変動した会社がある。   

旭化成

                              単位:百万円(配当:円)      
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 1,498,620  42,649  108,726  27,410  104,166  27,013  59,668  29,010  5.0  5.0  10.0
07/3 1,623,791  42,758  127,801  28,216  126,507  29,069  68,575  28,867  5.0  7.0  12.0
08/3 1,682,000  42,500  126,000  26,500  123,500  27,500  70,000  31,000  6.0  7.0  13.0

2006/3期に発生した数理計算上の差異(益236円)は、従来法では2007/3期に計上するが、10 年定額法に変更。
これにより2007/3期は従来法に比べ、
損益は196億円減少

ケミカルズ営業損益 前年比 +115億円(数量差 +46、売価差 +522、為替差 +52、コスト差等 -505)

 汎用事業(217→315   +98)
   モノマー系は、需給逼迫で価格が急上昇したアジピン酸を始め、海外需要堅調なANM、SM などを中心に増収増益。 
ポリマー系は、ナイロン66樹脂及び繊維「レオナ」などが堅調に推移し、増収増益。
 高付加価値系事業(188→205   +17)
  リチウムイオン2次電池用微多孔膜、イオン交換膜の販売増、中国向けイオン交換膜法食塩電解プラントの輸出で増収増益。

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帝人

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  938,082  22,457  76,757   9,223  68,162   9,257  24,852  2,025  3.5  4.0   7.5
07/3 1,009,586  25,717  75,061  12,457  60,493  13,095  34,124  6,487  4.5  5.5  10.0
08/3 1,030,000    80,000    69,000    39,000  ー   4.5  5.5  10.0

 *単独決算は関係会社配当金、経営管理料、不動産賃貸収入の収益が中心。

合成繊維
 ポリエステル繊維は増収、赤字横這い。
 高機能繊維(アラミド繊維、炭素繊維)は需給逼迫で増収・増益。

化成品
 フィルム(PET、PEN)は増収・増益
 樹脂(PC)は増収・減益
   中国ポリマー工場第2系列完成、PCシート大幅拡大・増設完了
    (中国ポリマー工場第3系列建設・コンパウンド工場増強決定)
   価格軟化(年央底打ち反転)、原料BPA価格上昇継続 

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日本触媒

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  232,441  170,510  23,228  18,915  26,148  23,008  16,257  14,502  7.5  8.5  16.0
07/3  266,513  192,177  19,429  16,008  22,754  20,378  13,988  12,378  8.0  8.0  16.0
08/3  295,000  216,000  22,000  17,800  24,000  21,600  14,500  12,800  8.0  8.0  16.0

 

   注 2002/3は「化学品」と「その他」の2区分

基礎化学品の減益幅が大きく、減益となった。

 基礎化学品
    アクリル酸、同エステル、酸化エチレン、エタノールアミン、高級アルコールは増収。
エチレングリコールは、市況堅調だが、在庫がタイトで販売数量が減少し、減収。
基礎化学品全体では増収となったが、アクリル酸等の市況弱含み、減価償却費等の増加で、大きく減益。
   
 機能性化学品
  高吸水性樹脂は世界的に需要が拡大するなかで、販売数量増加、販売価格是正で増収。
無水マレイン酸等も増収。
販売数量の増加や一部製品の販売価格是正で、前期比 17.0%の増益。

 同社の高吸水性樹脂能力推移
Nisshokusap

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三菱レイヨン

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3 348,967 227,916  38,766  22,738  38,858  27,157  24,425  18,006  4.0  5.0  9.0
07/3 417,027 238,042  59,665  39,246  58,471  44,343  31,273  25,943  5.0  5.0 10.0
08/3 435,000 255,000  48,000  23,500  47,000  27,500  23,500  15,500  5.0  5.0 10.0

2006/3より、退職給付会計における数理計算上の差異の処理方法を、
 これまでの定額法償却での営業外費用処理から

 発生の翌年度に営業費用として一括償却する方法に変更:
  
営業損益、経常損益への影響 2007/3 142億円の益 2006/3  9億円の損
  
当期損益への影響  2007/3 約85億円の益

数理計算上の差異の影響除外の場合

化成品:(+280億円→+322億円 以下、数理計算上の差異の影響除外の場合
  ダイヤニトリックスの連結子会社化、三菱麗陽高分子材料のフル寄与が増益に貢献
  MMAモノマーも販売好調

・ダイヤニトリックス:
 アクリロニトリル、アクリルアミド、ポリアクリルアミド及び関連事業での三菱化学とのJV
 
当初50/50、2006/4/1に三菱レイヨン65%で連結子会社化
・三菱麗陽高分子材料:
 
江蘇省南通市のアクリル樹脂板、コーティングレジンの製造販売会社
 三菱レイヨン 100%
  樹脂板:20,000トン/年、塗料用樹脂 3,500トン/年
  2005/7 稼動

繊維:(+16億円→-11億円
  原燃料価格高騰に対して価格転嫁不十分で赤字に

炭素繊維・複合材料、機能膜事業その他:(+99億円→+143億円)
  炭素繊維・複合材料が産業・スポーツ用途が好調、米国Grafil社設備増強 

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住友ベークライト

                                    
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末 年計
06/3  241,085  107,185  27,249  16,661  28,570  20,359  15,212  8,098  5.0  10.0  15.0
07/3  255,374  103,695  17,765   6,836  19,695  11,373  11,920  6,628  7.5  7.5  15.0
08/3  265,000  126,000  21,200   7,400  23,000   9,200  13,100  8,600  7.5  7.5  15.0

退職給付会計の数理計算差異による利益が、06/3の79億円から07/3は 6億円と 73億円減少

数理計算上の差異の影響除外の場合

回路製品部門が大幅減益(5億円 → -20億円
 フレキシブル・プリント回路は値下げ圧力が強く、減収。
 エポキシ樹脂銅張積層板、フェノール樹脂銅張積層板は増収。
 全体として売上高は大幅に増加したが、原料価格の高騰と製品価格の値下りから大幅減益となった。

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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