石化大手の決算も発表になった。
昨秋のナフサ値下がりで製品値下がりが懸念されたが、その後ナフサ価格は値上がりし、5月9日には過去最高値を更新する勢いで、逆に製品値上げが浸透した。
しかし、中国向け中心のPTAやVCMなどは値下がりの影響で前々期に比して利益は大きく下がっている。
電子材料が各社好調ななかで、液晶テレビの価格下落を受け、住友化学の情報電子化学の大幅減益が目立つ。
東レ
売上高は4年連続、営業利益及び経常利益は3年連続、当期純利益は2年連続で過去最高を更新
単位:百万円(配当:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2008/3予想:
税制改正による減価償却費の増加分を除いた従来ベースは
連結営業利益 113,000、経常利益 106,000、当期純利益 59,000百万円
営業損益対比 (億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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炭素繊維複合材料が増益(118億円→181億円) | |
国内: | 航空宇宙・スポーツ・産業各用途とも旺盛な需要に対応し、炭素繊維、 中間基材、成形品それぞれを拡販。 2007/1に稼働開始した愛媛工場増設分の増産・増販効果もあり、増収増益。 |
海外: | 航空機用途・産業用途とも旺盛な需要に対応し拡販。 2006/1から増設設備が稼動した米国子会社の増産・増販効果もあり、増収増益。 |
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三菱ケミカルホールディングス
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営業損益対比 (億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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石化: | テレフタル酸、エチレングリコール等の海外市況が弱含みで推移 生産設備トラブルの影響等 |
機能化学: | 炭素事業における原料炭在庫の受払差が当期は差損に転じたこと等 |
ヘルスケア: | 主力医薬品の販売数量増 販売手数料や退職給付費用等販売管理費の減少 |
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三井化学
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国内連結子会社の一部で、建物を除く有形固定資産の減価償却の方法を、当期より定額法から定率法に変更。
三井化学に合わせるもので、従来の方法と比べ、当期の減価償却費は12億円増加。
2006/3 | 2007/3 | 増減 | 内訳 | ||||
数量差 | 価格差 | 比例費差 | 固定費差等 | ||||
機能化学品 | 108 | 135 | 27 | 52 | △ 3 | △ 19 | △ 3 |
機能樹脂 | 101 | 222 | 121 | 9 | 239 | △ 138 | 11 |
基礎化学品 | 218 | 110 | △ 108 | 44 | 541 | △ 699 | 6 |
石油化学 | 159 | 454 | 295 | 61 | 662 | △ 429 | 1 |
その他 | 6 | 21 | 15 | 2 | 2 | △ 6 | 17 |
消去・全社 | △ 5 | △ 25 | △ 20 | △ 20 | |||
合計 | 587 | 917 | 330 | 168 | 1,441 | △1,291 | 12 |
機能樹脂:エラストマー、特殊ポリオレフィン、エンプラ。塗料用原料樹脂
アクリルアマイド、ウレタン原料、ウレタン樹脂
◎ TDIの市況が東・東南アジア、特に中国で改善
基礎化学品:PTA、PET、フェノール、ビスフェノールA、EO/EG
◎ 各製品とも原料価格の高騰によるコストアップ分の全てをカバーするには至らず。
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住友化学
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同社の場合、特に説明がないが、日本経済新聞 2006/9/8によると、退職年金積み立て超過が612億円あり、3年間で業績に反映させるので、本年度は約 200億円の増益要因になっている。
営業損益対比 (億円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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情報電子化学: | |
: | 液晶ディスプレイ材料における売価の低下、減価償却費・試作開発費等の固定費の増加で前期比 182億円減益 |
医薬品: | |
大日本住友製薬の業績が通年で寄与。 |
薄型テレビの競争は激しく、少し前まで1インチ 1万円だったのが、3千円を切った。今後も下がることは必至で、上がることはあり得ない。
液晶ディスプレイ材料もコスト削減でどこまで採算を維持できるかがキイであろう。
1年前の懸念が的中した。
2006/3/4 ハイテク材料バブル説
付記
液晶用光学フィルム最大手の日東電工でも、「液晶テレビ用の需要が拡大したが、製品価格低下の影響を大きく受け、また液晶テレビパネルの急速な大型化の影響により、光学フィルムの歩留まりなど生産効率が悪化」したとしている。
液晶表示関連材料の属する電子材料部門の営業利益は、前期の587億円から314億円に46.4%減となった。
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東ソー
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売上高、営業利益、経常利益はいずれも過去最高。
営業損益対比 (億円) | ||||||||||||||||||||||||
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機能商品: | |
: | 無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等 日本ポリウレタン工業を連結子会社化し、ウレタン原料が新たに加わった。 |
同社の増収・増益要因の説明 | |
(1) | VCM、PVC、キュメン等の国際市況商品の輸出価格を国際需給バランスの好転を支えに底上げできたこと |
(2) | ポリエチレン、苛性ソーダ、PVC等の国内価格についても原燃料の上昇分を転嫁することで是正できたこと |
(3) | エチレンアミン、ジルコニア、石英ガラス、体外診断用医薬品など育成・強化に注力した機能商品の多くが順調に伸びたこと |
(4) | 日本ポリウレタン工業を連結子会社化したことによって全体の収益力を強化できたこと等 |
(1)のVCM、PVC価格は、大幅値下がりからの底上げで、それらの属する基礎原料部門の営業損益は前々期の204億円からは非常に下がった状況にある。
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