PetroChina は13日、陝西省政府との間で延安(Yan'an)での大規模エチレン計画の契約を締結した。
延安のエチレン計画は能力100万トンで、建設費は26億ドル。PetroChina と陝西省政府のJVが建設・運営する。
PetroChinaがマジョリティを持つが、出資比率やスケジュール、誘導品能力は明らかにされていない。
PetroChina総経理と陝西省の省長はともに、本協定は両者が石油産業一本化戦略を進めていく重要な一部で、陝西省の資源優位を活用し、国家経済成長によるエチレン需要を満たし、同省とその周辺部の関係産業をけん引することに重要な意義をもつと評価した
陝西省北部は石炭、石油、天然ガス、塩の資源が豊富で、石油化学工業を進めていく基盤を築き上げている。
協定により、双方は延安で企業登録を扱い、「公司法」により進める。詳細は双方が話し合って決定するがPetroChinaが持株会社にする。
PetroChina は陝西省の延安近郊に長慶(Changqing)油田を、また咸陽(Xianyang)に製油所・長慶石油化学を持っている。
一方、陝西省政府は2005年10月に、陝西省北部地域における石油資源の統合を推進するため、石油探鉱開発企業21社(陝西省の所管する石油開発会社7社、陝西省北部各区・県の所管する石油開発会社14社)ならびに製油所3社(延煉集団、永坪精油所、楡林製油所)を統合し、全額出資企業「陝西延長石油(集団)有限責任公司(Shaanxi Yanchang Petroleum Group Co.)」を設立した。
統合により同社は、PetroChina, Sinopec、CNOOCに次ぐ中国第4位の石油会社となった。
中国における原油生産シェア(2004年ベース)
PetroChina 59% Sinopec 22% CNOOC 9% 陝西延長 4% 外資ほか 6%
陝西省は中国で最も古い産油地帯であり、中華人民共和国設立前から石油の生産が行われていた。
延長油田は、陝西省北東部部(延安市東方約50Km)に位置しており、延長(Yanchang)油田の他、小規模油田群の総称である。
長慶油田は、オルドス盆地中・西部に位置しており、陝西省だけではなく、甘粛省、寧夏回族自治区に位置している。馬嶺(Maling)油田の他、小規模油田群の総称である。
なお、PetroChina の製油所・長慶石油化学は西安の西の咸陽にあるが、PetroChina長慶油田公司は昨年11月に北は甘粛省慶陽市の西峰油田から、南は咸陽の長慶石化までの慶咸原油輸送パイプラインの利用を開始した。
同社は陝西、甘粛、寧夏を結ぶ陝西靖辺-咸陽、陝西靖辺-寧夏恵安堡の原油輸送パイプラインの建設を終えており、隴東、安塞、靖安、靖綏など長慶油田公司の中堅油田の原油が、環状パイプラインを通じて、北の寧夏、西の蘭州、南の陝西まで送られることとなる。
PetroChina と陝西延長の石油生産量は以下の通り。
2004年 石油生産量 (単位:万トン) | ||||||||||||||
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原油処理については、PetroChinaの長慶石油化学は昨年290万トンの原油を処理しており、陝西延長石油グループは970万トンの原油を処理している。
このため、新エチレン計画の原料ナフサは両社の既存製油所から供給を受けることが出来る。
本計画は中国の現在の5ヵ年計画には含まれておらず、次期計画に含まれることとなるため、スタートは2010年以降となる。
本計画については、(1)中国政府が陝西省を含む西部地域の開発を重視していること、(2)PetroChinaがSinopec に対抗して石油化学事業拡大に熱意を持っていることから、本計画の承認は間違いないと見られている。
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