化学会社決算まとめ

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化学会社の決算がほぼ出揃った。

各社の営業損益(前期及び当期)の対比は以下の通り。
うち昭和電工は12月決算)

 

昨秋のナフサ値下がりで製品値下がりが懸念されたが、その後ナフサ価格は1月17日に503ドルまで下がってから値上がりに転じ、5月14日には史上初めて700ドルを超え、5月16日には722ドルを記録した。
これを受け、逆に製品値上げが浸透し、各社とも好調な決算となった。

 

円安も損益向上に大きな影響を与えている。

(既報の通り、武田薬品は為替の影響で前期比 228億円の増収となったが、トヨタ自動車の場合は円安効果は2,900億円。欧米の自動車企業は「円安で日本の自動車は1台当たり2,400ドルの価格競争力を得ている」と反発しているという。)

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しかし、中国向け中心のPTAやVCMなどは値下がりの影響で前々期に比して利益は大きく下がっている。
電子材料が各社好調ななかで、液晶テレビの価格下落を受け、住友化学の情報電子化学の大幅減益が目立つ。

営業損益変動の主な例は以下の通り。(問題製品を含む事業部門の営業損益、単位:億円)

中国向け中心のPTA、VCM、PVCなど値下がり
 
  部門 05/3 06/3 07/3 前々年比
三菱化学 石油化学
(PTA、エチレングリコール等)
 586  309  282  48%
三井化学 基礎化学品
(PTA、PET、フェノール、
ビスフェノールA、EO/EG)
 360  219  110  31%
東ソー 基礎原料
(苛性ソーダ、VCM、PVC、セメント)
 204   56   61  30%
 
同じPVCでも、信越化学は米国の塩ビ会社 Shintech が好調で増益。
 
コエンザイムQ:競争激化による大幅な減収、減益
 
  部門 06/3 07/3 前年比
カネカ ライフサイエンス  190   57  30%
三菱瓦斯化学 天然ガス系   54   25  46%
    三菱瓦斯化学の同部門のメタノールは好調
   
液晶フィルム値下がり
 
  部門 06/3 07/3 前年比
住友化学 情報電子化学  217   35  16%
日東電工 電子材料部門  587  314  53%
 

薄型テレビ価格下落で、韓国・台湾の液晶パネルメーカー(プラズマパネルも)が赤字に転落した。
1-3月期決算で、韓国の液晶パネルメーカー7社のうち、5社が赤字、プラズマパネルメーカーも2社が赤字となった。
台湾でも液晶パネルメーカー大手5社のうち、4社が赤字転落。

上記の各製品の状況は一時的なものでなく、今後も回復の可能性は少ない。
   
逆に、半導体シリコンのように大増益の部門もある。
 
  部門 05/3 06/3 07/3 前々年比
信越化学 電子材料
(半導体シリコンなど)
 537  653 1,066  199%
トクヤマ 特殊品
(多結晶シリコンなど)
  92  161  258  280%
   
   
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好調な石油化学も大きな問題を抱えている。
   
  原油価格は現在 65ドル近辺だが、ファンダメンタルは 40~45ドルと言われており、現状価格はいろいろな思惑やイラン情勢その他を加味したものである。(1/19には 48.85ドルまで下がっている)
ナフサ価格はその原油価格のレベルを遥かに上回る状況で、中国の需要、台湾・韓国のエチレン増設、米国のガソリン価格上昇、その他を加味したものであるが、これまでの原油価格との相関関係から見て、異常な値上がりである。
   
ナフサ価格がいつまでも高い水準で推移する保証はない。
中国バブルがはじけ、ナフサ価格が下がった場合の反動は大きい。

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