ダウは5月21日、中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。
2004年12月に神華集団との間でFS共同実施の契約を結んでいる。
神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。
計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産する。電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。
このほか、誘導品としてグリコール類、アミン、溶剤、界面活性剤、アクリル酸と誘導品、プロピレン誘導品などが計画されている。
ダウの中国での活動については
2006/8/23 中国でのダウの活動
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このところ、ダウは相次いで海外の大プロジェクトを発表している。
ダウは4月18日、リビアの国営石油会社(NOC)とJVを設立し、NOCのRas Lanuf コンプレックスの石化コンプレックスを拡張・運営すると発表した。
2007/4/25 Dow、リビアに石化JV設立
5月12日にはダウとサウジアラムコは、世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックス(ラスタヌラ総合計画)の建設・運営についての詳細覚書を締結したと発表した。
2007/5/15 アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設
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ダウは昨年3月に、基礎部門の強化を”Asset Light"戦略(JV化)を通して行う方針を明らかにした。他社と新しいJVをつくるだけでなく、場合によっては既存の設備を出してJVにすることも行うとした。
2007/2/3 ダウ、PSとPP事業のJV化を検討
Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVのMEGlobalを設立してダウの設備を出したのが例である。
2006/5/31 「湾岸諸国の石油化学ー1」 参照
タイでのサイアム・セメントとのJVもこの一環である。
2006/10/24 「ダウ、アジア進出を促進」 参照
国内では4月10日に、既存のPS事業をJV化する計画を発表した。
Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV設立のMOUを締結した。今後、Due diligenceを行う。
2007/4/11 Dow、Chevron PhillipsとSM/PSのJV設立
引き続き、PP事業についてもJV化を検討している。
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Dowには買収説や基礎部門の分離・JV化説が飛び交っていたが、基礎部門での大プロジェクトが次々と発表されるのから見ると、そのような話は消えてしまったように思われる。
2007/3/2 Dow 買収説
2007/3/19 Dow JV説
なお、ダウは4月12日に、役員2人が、Dowの行動基準に極めて不適切に、また明らかに違反し、会社の被買収に関して第三者に話をしたとして解雇したと発表した。
Dow買収説で、Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi Arabia、Kuwait、Bahrain、Qatar、UAE、Oman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルで買収するという報道がなされた直後である。
2007/4/13 速報 Dowが買収情報漏えいで役員を解雇
これに関して5月8日、会社側、役員側がともに訴訟を行った。
会社側は報道の翌日にその役員が中東資本の代理人を務める銀行のCEOと会談したことが分かったとしており、会社の規則に違反したとして、株オプション等の返却と、雇用契約不存在の確認を求めている。
役員側はそれを否定し、何ら規則に違反していないとして、損害賠償を求めている。
* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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