ニューヨークで潮力発電開始

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2007/6/12 「海洋温度差発電の実証プラントで海水淡水化」で海洋温度差発電について述べた。最近、潮力発電所の建設が各地で行われている。
 
  

世界で最初の潮力発電所は1966年11月に完成したフランスのランス潮汐発電所(Rance Tidal Power Plant)で、フランス・ブルターニュ地方のRance川河口にあり、フランス電力公社が運用している。

この付近は潮位差が大きく最大潮位差が13.5m、平均潮位差8.5mにもおよぶ。
Rance川河口を幅700mにわたって2基のダムで堰止め、建設された。24基のタービンによる最大定格出力は240MWで、年間の発電量は約6億kWh、平均出力は約68MWである。

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(米国)

ニューヨーク市の潮汐発電は RITE Project (Roosevelt Island Tidal Energy Project) と呼ばれ、マンハッタン島の東岸を流れるイーストリバーの川底にVerdant Power 社が開発した潮力稼動水力発電タービンを順次6基設置した。
2,400時間の連続稼動に成功し、11日に式典が行われた。

電力はRoosevelt Island のスーパーと駐車場に供給され、併せてタービンの魚への影響の調査が行われている。

今後、同島周辺及び国連本部近くに300のタービンを置く計画で、完成すれば8,000戸の家庭が消費する電力に相当する10MWを発電する。

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エネルギー技術企業の米 Independent Natural Resources は、本年央に同社の波力タービン Seadog を北カリフォルニアのHumboldt Countyの沖合に設置することを検討している。

これが成功すれば、ポンプ16基を設置し、約600世帯分の電力を生成するプロジェクトが実施される。

 

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(英国)

英国のエネルギー開発会社Marine Current Turbines Ltdは 6日北アイルランドに商業用の潮力発電施設 (SeaGen Tidal Energy System) を建設することを明らかにした。

発電施設は、北アイルランド東部ストラングフォード湖 (
Strangford Lough) に建設される。一部がアイリッシュ海と通じており、双方を行き来する潮力で湖底に取り付けた2枚のプロペラを回転させ発電する仕組みで、設備容量は1.2MW、約1,000世帯分の電力需要を賄うことが可能という。

同社は3年以内に英国沿岸で10MWまでの SeaGen を設置し、資金面と規制面で許されれば、2015年までに500MWまで増やしたいとしている。

今回のプロジェクト実施に当たり、コンサルタントが大学とタイアップして包括的な環境調査を実施した。

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(韓国)

韓国の西海岸は干潮と満潮の差が大きく、仁川(インチョン)付近では最大で9メートル(平均で6.5メートル)にもなる。

これを利用した2つの潮力発電計画がある。
安山市の始華湖計画と、仁川市の江華島計画である。

始華湖は干拓事業によって内海の浅い海を12.6kmの堤防によって閉めきってできた6,100haの人工湖で、湖周辺を農業や工業用地として大規模に開発、始華湖は淡水化しその水を農業用水や工業用水として利用する計画であった。

堤防の工事は1987年に着工し、1994年に完成した。

しかし、工業排水や生活排水が湖に流入し、湖の水質が極端に悪化、また重金属汚染も起こったため、淡水化は'98年に断念され、堤防の水門を開放して海水を湖に入れることで、水質改善を図ることになった。

この水質管理の一貫として、より多くの海水交換をおこなうための新しく作られる水門を利用して潮力発電所も作られることになった。

海洋水産部は、2001年7月に24万kWの潮力発電所建設計画案を初めて公開した。
10基の水車が作られ総発電力は254MW、年間の総発電量は55,200万kwhになる予定で、2010年に発電が始まる。

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仁川市は3日、韓国中部発電や大宇建設コンソーシアムと、江華潮力発電所の共同開発事業のためのMOUを締結した。

2014年にかけ約 2,300億円を投入し、江華島、喬桐島、西剣島、席毛島の4島を全長7795mの潮力ダム防潮堤で結んだ後、水力発電機32機を設置し、2015年から発電を開始する予定。

今回建設される予定の江華潮力発電所の発電容量は812MWで、フランスのランス潮力発電所(240MW)や建設中の始華湖潮力発電所(254MW)をはるかに上回る世界最大規模となる。

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(オーストラリア)

オーストラリアのEnergetech 社は昨年12月、シドニーの約240km南に、「波力エネルギーを商業利用する世界初のプラント」、Wave Energy Generator を設置した。

放物線状の開口部を備える幅40メートルの486トンのタービンが、その形状のおかげで幅広い波面をとらえて波を空気室に送り込む。狭い空気室内では波の上下動により、勢いよく水が噴出する。そして、これによって発生する高速の空気流が、空気流の出入に関係なく同方向に回転するよう制御されたタービンを回転させるという仕組みである。


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潮力発電ではないが、電源開発(Jパワー)はインドネシア・ジャワ島における海水揚水発電を検討している。

5月にインドネシア国有電力会社PT PLN (Persero
と協力協定を締結したが、初期検討対象のひとつが海水揚水発電である。

同社は1999年3月に沖縄やんばる海水揚水発電所の実証試験運転を開始した。
沖縄本島北部に位置し、上部調整池に海水を汲み上げ、最大使用水量26m
3/s、海面との有効落差136mを利用し、最大出力3万kWを得る世界初の海水揚水発電所で、5年間の実証試験運転を経て、2004年から発電運転を行っている。

揚水発電に用いる下部調整池の築造が不要となるほか、上部調整池以外のほとんどの発電所設備が地下設備となることから、地表の改変面積を小さくするメリットがある。



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