米国の投資会社Ewing Management Group は本年上半期に中国の2社を合計1億ドルで買収したと発表した。
一つは浙江省杭州市に本拠を置く中国有数の園芸会社(名称不明)で、幅広い種類の植木や花卉の開発の先端技術を所有している。同社は植木や花卉の中国最大の生産者で、中国でいくつかの研究センターや生産センターを運営している。この数年の売上高の伸び率は驚異的であるとされている。
もうひとつが江蘇省常州市のSMメーカーのDonghao Chemical (東昊化学)で、現在のSM能力は20万トン。江蘇省には多数の発泡PS(EPS)メーカーがあり、中国のSMの全使用量の6割を消費している。
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Donghao Chemical は自らもEPSを生産しているが、常州市の周辺のEPSメーカーに供給することも狙い、SM進出を図った。
当初は香港の China Railway United Materials との50/50JVで、2003年末に15万トンのプラントをスタートし、1年後に倍増する計画を立てた。
しかし、この計画は実現せず、2年遅れで2005年末に自社で15万トン設備をスタートさせた。
その後、手直しで順次能力を増強し、本年3-4月に18万トンから20万トンに増強している。
同社は資金力が無く、昨今の原料価格高騰で原料調達に支障をきたしていた。
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買収したEwing Management Group はテキサス州ダラスに本拠を置く投資会社で、 製造業や資産集約型産業の企業を買収し運営することを目的としている。
同社は以前はCarlyle Group に属し、Carlyle Management Group と称した。
2004年にCarlyle Group から円満に分離し、10億ドルの資金で再スタートした。
同社はDonghao Chemical について、建設費が世界のどこよりも安いこと、輸入品に対して物流費が安いことなどで競争力があるとしており、いろいろな増強計画が既に出来ており、短期間で実施できるとしている。
同社のCEOは、今回取得した2社は競争力と成長の可能性を持っており、同社としてファイナンス面と拡大戦略の実施面で支援できるとしている。経営そのものは従来の経営者に任せる模様。
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投資会社による中国企業の買収は珍しい。
園芸会社の買収は面白そうだ。今後も需要は伸びると思われる。
しかし、原料を持たないDonghao Chemical の買収が成功するかどうか、見ものである。
特に業績が悪化した場合の対応が問題であろう。
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最近、欧米での化学会社の買収が盛んである。それが遂に中国まできた。
しかし、日本の化学会社の買収の話が全くないのは、どうしてであろうか。
全く魅力がないからとしたら、悲しむべきことであろう。
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