中国の財政部、国家税務総局は18日、国務院の承認を経て、「財政部と国家税務総局の一部商品の輸出増値税還付率の引き下げに関する通知」を公布した。これに基づき、7月1日から一部商品の輸出増値税還付政策を調整する。
輸出増価税還付とは輸出製品の購入の際の増価税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増価税を払い戻すもの。
中国では財、サービスの販売時、輸入時には原則 17%の増価税(付加価値税)がかかる。(販売業者は、その購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税の控除を受ける。)
製品の輸出に関しては増価税は免除され、その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税に関しては、政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。
中国の増価税及び輸出増価税還付に関しては下記を参照
2006/9/26 中国、輸出増価税リベート変更
これまでも還付率が変更されており、昨年9月にも上記記事に記載の通り、一部変更された。
還付率が減ると、輸出の手取りが減り、輸出抑制の効果がある。
今回の調整の狙いとして、以下が挙げられている。
▽輸出の急激な増加を一層抑制する
▽中国の貿易黒字の膨張がもたらす問題点を緩和する
▽輸出商品構造を改善する
▽エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)の輸出を抑制する
▽対外貿易成長モデルの転換と輸出入のバランスを促進する
▽貿易摩擦を軽減する
▽経済成長モデルの転換と経済・社会の持続可能な発展を促進する――など。
今回の調整の対象商品は2831品目に及び、税関が取り扱う商品目全体の37%に相当する。
2年続けての大幅な調整は、中国政府が貿易摩擦から人民元引き上げの声が高まるのを懸念していることを表している。
今回の調整内容は主に次の3点。
(1)エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)553品目の輸出増値税還付を取り消す。
・ Salt, solvent oil, cement, liquefied propane, liquefied butane, LPG and other minerals;
* BTX、Phenols、PO、その他を含む
(オレフィンは昨年9月に既に還付を取り消されている)・ Fertilizers ・ Chlorine and dyes, and other chemical products ・ Leather ・ その他、絶滅危惧動植物やその製品、金属炭化物や活性炭、木製板や木材一次加工品、非鉄金属加工品、船舶など
(2)貿易摩擦を引き起こしやすい商品2,268品目の輸出増値税還付率を引き下げる。
・ Some of the chemicals → 5%(一部8%)
EO、Acetone、無水フタル酸、酢酸ほか・ Plastics, rubber products → 5% ・ Paper products → 5% ・ その他衣類、靴・帽子、バッグ、おもちゃ、植物油、石材や陶磁器、鉄鋼製品、コークス炉、オートバイ、ビスコース繊維など。 * プラスチックの多くは昨年13%から11%に下がっていた。
(3)10品目の輸出増値税還付を改め、輸出免税政策を適用する。(ピーナツ、油彩画、彫刻板、切手、収入印紙など)
* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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