先月26日にHuntsman Chemical はBasell Polyolefinsによる56億ドルでの買収に合意したことを発表した。
2007/6/27 速報 Basell がHuntsman Chemicalを買収
そのHuntsman Chemicalは4日、同社がHexion Specialty Chemicals から新たな買収提案を受けたことを発表した。
Hexion Specialty Chemicals は投資会社のApollo Management の100%子会社で、Borden Chemical、Resolution Performance Products、Resolution Specialty Materials の3社が合併して設立された。Huntsmanの買収は実質的にApollo Management による買収である。
Apollo Management は昨年、GE Silicones を買収した。昨年初めには、多角化企業のTyco International からプラスチック・接着剤部門を975百万ドルで買収している。GE Plastics 売却の際にも買い手候補としては筆頭にあがっていた。
買収価格はBasell が1株 $25.25 だったのに対して $27.25 で、総額60億ドルとなる。
なお、Basell との契約では、Huntsman がより有利な提案を受けた場合には契約を破棄できることとなっており、その場合はBasell に2億ドルのペナルティを払うこととなっている。Hexion は同社との合併が実現すれば、このうち1億ドルを負担するとしている。
Huntsman ではHexionの提案はBasell との契約での「より有利な提案」に該当すると判断、これを詳細に検討して意思決定を行うとしている。
Hexion の提案は、Basell との契約の破棄、Hexion との統合契約の実施を条件としている。
法規制での承認が得られないとか、資金が得られなくて取引が行われない場合には、Hexion は325百万ドルのペナルティを支払うとし、逆にHuntsman側が取締役会の決定等で契約を破棄した場合には225百万ドルのペナルティを支払うこととの条件がついている。
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これに対してBasell 及びその親会社のAccess Industries のオーナーのLen Blavatnik の反応はまだ明らかでない。
Huntsman に対してより有利な条件で再提案をするのか、2億ドルのペナルティをもらって Len Blavatnik が「戦略的目的で」株を購入したLyondell Chemical の買収に動くのか、目が離せない。
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Borden Chemical は接着剤やフォルムアルデヒドなど、Specialty chemical の会社で、1995年に投資会社のKohlberg, Kravis, Roberts (KKR)に買収された。
Borden は、ベークラント博士がベークライト製造のため1910年に Rutgers AG と合弁で設立した Bakelite GmbH を2004年にRutgers AG から買収している。
2004年に投資会社のApollo Management がBorden を KKRから12億ドルで買収した。
なお、塩ビメーカーの Borden Chemicals and Plastics は、当初はBorden Chemical の子会社であったが独立した。
同社は破産し、3工場をそれぞれ Shintech、Formosa、Geismar Vinyls (Westlake) に売却している。
Resolution Performance ProductsはApolloがShell Chemical から買収した会社で、エポキシレジンとバーサチック酸及びその誘導品のメーカー。
Resolution Specialty MaterialsはApolloがEastman Chemical から買収した会社で、熱硬化性樹脂と成形コンパウンドを販売している。
2005年4月、いずれもApollo Managementの100%子会社の上記3社は、合併して社名を Hexion Specialty Chemicals とし、世界最大の熱硬化性樹脂メーカーになると発表した。
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