トルコ政府は国営石化会社Petkem民営化のため株式の51%の入札を実施したが、カザフスタンとロシアのコンソーシアムTransCentralAsia Petrochemical Holding が2050百万ドルで落札した。
ーーー
トルコの石油化学進出は1962年に決められ、1965年にPETKIM Petrokimya Holding が設立された。
1972年から76年にかけて Yarimca Complex でSM、PS、SBR、LDPE等がスタート、次いで Aliaga Complexでエチレンからのコンプレックスが1985年以降スタートした。(その後、Yarimca は老朽化で閉鎖された)
現在の主な製品の能力は以下の通り。(千トン)
同社はトルコの石化市場の1/3を占め、従業員は4,000名。
ーーー
トルコ政府は当時93%を所有していたPetkimについて、IMFの指導により、2003年前半での民営化を決定した。
同年6月、政府は88.86%分の入札を実施、いずれもトルコの化学会社Standard Kimya、化学・繊維会社Sanko Kimya Ltd、化学品・樹脂の電子取引会社のChemOrbis、トルコ最大の銀行のVakiflar Bankが応札した。
その結果、最高の605百万ドルを提示したStandard Kimyaが落札、政府の承認を得た。
その直後、Standard KimyaのオーナーのUzan 一族の不正取引が発覚し捜査を受けた。
政府はStandard Kimyaが落札決定後の30日以内に必要な頭金支払いをやっていないとして、この落札をキャンセルした。
政府は2003年8月に同様の入札を行ったが、関心を持つ投資家がおらず、失敗した。
2005年4月に一般公募で34.5%の株がトルコ及び海外の投資家に267百万ドルで売却された。
当初からの民間所有を入れると40%強が民間所有となっている。
今回、51%分について入札された。
ーーー
落札したTransCentralAsia Petrochemical Holding は3社のコンソーシアムであることが判明した。
中心となるのは、ロシアの投資銀行のTroika Capital Partners。
その他は、カスピ海油田の開発のために設立された米国の石油会社Transmeridian Exploration の100%子会社の Caspi Neft と、ロシアやカザフの投資家のためにトルコでの投資管理を行っている不動産業のEvrazia である。
今回の入札では落札者は3年間は売却できないこととなっており、Troika では4年から6年の間で売却を考えていると伝えられている。
ーーー
今回応札した8社は以下の通り。
イスラエルのCarmel Olefins とインドのIndian Oil Corporation がそれぞれ現地企業と組んで応札している。
・TransCentralAsia Petrochemical Holding
カザフスタンとロシアのコンソーシアム 詳細不明
・Socar & Turcas-Injaz joint investment group
トルコの石油会社Socar & Turcas とサウジの Injaz Projects のコンソーシアム
・Turkish Limak-Carmel
トルコの建設・エネルギー・セメント会社Turkish Limak とイスラエルのCarmel Olefins
Carmel Olefins の海外進出戦略の一環
・Zorlu
トルコの繊維・家電メーカーの Zorlu グループ
・Hokan Chemicals joint investment group
トルコのコンソーシアム
・IOC-Calik
インドのIndian Oil Corporation とトルコのCalik Energyの連合
・ Naksan-Torunlar-Toray-Kiler joint investment group
・ Firat Plastik, Kaucuk Sanayi ve Ticaret AS
なお、5月14日に行われた予備入札には19社が応募したが、その中にはIneos とBasell と現地企業がコンソーシアムを組んで参加していた。
注 イスラエルのCarmel Olefins については下記参照。その後操業を再開している。
2006/7/24 イスラエルのCarmel Olefins、戦闘激化で操業停止
* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
コメントする