ポリプロカルテルのその後

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2007/7/2 「ガス用ポリエチレン管・継手に排除措置及び課徴金納付命令」でポリプロのカルテルについて触れ、次ぎの通り述べた。

ポリプロの価格カルテルでは住友化学、出光興産(当時は出光石油化学)、サンアロマー、トクヤマの4社は勧告を拒否、日本ポリケム、チッソは応諾したが課徴金に関して審決の手続きを要求し、いずれも審判が開始された。   

昨年秋以降は、両ケースとも審判が行われておらず、公取委ホームページに何の記載もない。
どうなっているのだろうか。

ポリプロカルテルについては 2006/7/13 ポリプロ価格カルテル事件の現状 参照

公取委は記者発表はしていないが、日本ポリケムとチッソの審判については、本年6月19日に審決が出ていた。

 公取委審決等データベース http://snk.jftc.go.jp/pdfdocs/H190619H15J01000022_.pdf

審決は8月20日までに課徴金の支払を命じるもので、当初の納付命令と対比すると大きく減額となっている。

2003/3/31 今回
会社名 課徴金 対応 会社名 課徴金
日本ポリケム  8億4517万円 審判請求 日本ポリプロ  2億2087万円
チッソ  4億3513万円 審判請求 チッソ  1億1662万円
三井化学  7億6008万円 応諾   -     -

注 日本ポリケム(東燃化学が離脱して三菱化学の100%子会社)は2003年10月1日に、チッソのPP事業を統合して日本ポリプロ(日本ポリケム65%/チッソ35%)となった。   

今回の課徴金の計算はいずれも、平成12年4月21日(需要者に通知した値上げ実施予定日)から同年5月29日(本件立入検査日の前日)までの期間の売上高に 6/100を乗じている。

当初の課徴金の計算については、当初の発表には記載されていないが、今回の審決の内容を見ると、公取委側は計算の終期を以下の通り主張しており、これが当時の計算の元になっていると思われる。

不当な取引制限に当たる違反行為は、違反行為の参加者間においてその事業活動を相互に拘束することであるから、違反行為が終了したというためには,当該違反行為者がその事業活動を相互に拘束する状態を消滅させたこと、すなわち、他の違反行為者との間での意思の連絡が切断されたことが必要であり、そのためには、当該違反行為者がその事業活動を相互に拘束する状態を消滅させたことについて、他の違反行為者がうかがい知るに十分な客観的な状況、すなわち、外部的徴表が必要である。(中略)

被審人日本ポリプロにおいては平成12年9月7日ころ、被審人チッソにおいては同月5日ころ、違反行為から離脱する旨を他の違反行為参加者に文書で通知した時期までは、意思の連絡が切断されたことを示す外部的徴表は認められず、本件違反行為が消滅したとはいえない。

これに対して、会社側は以下の通り反論している。

外部的徴表が必要であるというのはおかしい。

公正取引委員会の立入検査が行われた事実が大々的に報道され,当時の販売を担当していた営業部は大変な混乱状態となり、値上げ活動を継続することが事実上不可能となった。

最終的に会社側の意見が通り、計算期間が大幅に短縮された。

なお、三井化学については当初の時点で応諾し、課徴金を支払っており、この審決の適用は受けない。

また、当初の納付命令(2003/6/2期限)は旧独禁法では審判開始で失効しており、2社はその間の金利の支払は不要である。

(昨年の改正独禁法では、「課徴金納付命令」に対して審判手続が開始されても、「課徴金納付命令」は失効せず、課徴金の納期限までに課徴金を納付しない場合において審決で当該課徴金納付命令が維持されたときは、延滞金が上乗せされる。

 

本件が公表されたので、住友化学、出光興産、サンアロマー、トクヤマの4社に対する審決も間もなくではないかと思われる。 

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