サブプライムローンの影響で世界的に株価が急落し、円も急上昇した。
米国の住宅ローン残高は約10兆ドルで、そのうち、サブプライムローンの残高は1兆3千億ドル。
サブプライムローンは証券化され、これをヘッジファンドや多くの金融機関が購入している。
このローンは初めの数年は低利率で、その後非常に高い利率になる。このため、支払不能による損害の予想は難しい。
FRBのバーナンキ議長は7月中旬の議会証言で、これによる金融機関の損失が500億-1,000億ドルに達するとの試算があると指摘した。
2007/8/8 米国の住宅市場調整長引く
この問題を引き金にした世界的な信用収縮不安で、幅広い層の投資家がリスク資産から資金を引き揚げる動きが続いた。
米国の株安を受け、16日の日経平均終値は16,148円となった。円は1ドル=113円台をつけた。
海外投資家は円キャリー取引(低利の円を借り高利のドルなどを購入、新興国の株式などに投資)を行っている。
株価下落で、これを解消するため円の買戻しが行われ、円高となった。
16日の米・ダウ工業株30種平均は12,845ドル78セントと4月19日以来の安値となった。
17日の円相場は一時、1年2カ月ぶりに1ドル=112円台を付ける急激な円高となった。
東京株式市場は円高で輸出の採算悪化を懸念して自動車、電機などの輸出関連株が売られた。日経平均株価は874円安と急落、15,273円で取引を終えた。下げ幅は今年最大で、2000年4月17日(1,426円)以来の大きさとなった。
韓国の株式市場では16日に過去最大の下落幅、17日も2日連続で暴落した。ウォンは円に対して1年3カ月ぶりの安値水準となった。
他のアジア市場でも軒並大幅に値下がりした。
17日朝(米国時間)、米連邦準備制度理事会(FRB)は信用不安の解消を狙い、公定歩合を6.25%から5.75%に引き下げると発表した。
これを受け、米株式相場は7営業日ぶりに大幅反発し、ダウ工業株30種平均は13,079ドル8セントで終えた。
米国の公定歩合引き下げを受け、17日のニューヨーク外国為替市場で円相場は5営業日ぶりに反落し、1ドル=114円30-40銭で取引を終えた。
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8月16日に発表された7月の米国の住宅着工件数は1,381千戸(年率)と約10年ぶりの低水準となった。
(数字は遡って見直される)
改善の兆しは全く見られない。
既報の通り、DuPontのHolliday CEO は北米の住宅需要は来年のどこかの時期まで回復を見込めないと述べている。
あるエコノミストは、住宅市場の底入れ時期について、「全米平均で価格が反転するのは2008年の半ば過ぎ。カリフォルニアなどは更に遅れる。住宅建設会社は業績回復までに数年かかる」としている。(日本経済新聞 8/18)
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