日インドネシア経済連携協定

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安倍首相とインドネシアのユドヨノ大統領は8月20日、ジャカルタの大統領宮殿で首脳会談を行い、地球温暖化対策とエネルギー分野の協力強化に関する共同声明を発表するとともに、インドネシアからの安定的な液化天然ガス(LNG)の供給確保を可能とする条項が盛り込まれた日インドネシア経済連携協定(EPA)に署名した。

両国間の貿易は以下の通り。

経済連携協定では、両国の往復貿易額(2004/5~2005/4実績)の約92%を無税にするとしている。

 ・インドネシアへの輸出額の約90%(鉄鋼の特定用途免税を含めると実質96%前後)が無税に
  (2004/5~2005/4実績では無税の割合は約34%)
   完成車では3000cc超乗用車(45, 60%)が2012年までに関税撤廃
   その他完成車(含バス・トラック) (5-60%)は大部分が2016年までに5%以下に関税撤廃/削減

 ・インドネシアからの輸入額の約93%を無税に
  (2004/5~2005/4実績では無税の割合は約71%)
   ほぼ全ての鉱工業品の関税を即時に撤廃

エネルギー・鉱物資源では以下の通り決められた。
 1.投資環境の整備
   ・投資環境に影響を及ぼしうる措置の透明性確保・協議
 2.規制措置・輸出許可手続採用時の対応
   ・新たな規制措置導入の際の両国間の通報
   ・規制措置適用時の既存の契約関係をめぐる混乱の回避
   ・輸出許可手続の透明性確保
 3.政策対話の枠組みの構築
   ・EPAの下でエネルギー・鉱物資源小委員会を設置
    (エネルギー安全保障や競争的な市場の発展等に関する討議)
 4.具体的な協力案件の実施
    石炭液化技術、省エネ支援、発電所環境モニタリング他.
 5.環境に対する配慮

日本はLNGの22%、石炭の17.8%をインドネシアから輸入している。(LNGは第一位)

 今回の取り決めで、インドネシア側は日本の投資・協力で投資環境の整備、生産増強および環境対策が進められ、
 日本側は、エネルギー・鉱物資源の安定供給の確保を図る。
 インドネシアが規制措置や輸出許可手続きを採用した場合の対応も決められた。

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2007年6月にはブルネイ・ダルサラーム国との間で日・ブルネイ経済連携協定が締結されている。

同国からの輸入はLNGと原油で、協定ではエネルギー分野における安定的かつ互恵的な関係を強化することがうたわれている。

(ブルネイからの輸入)
 10年以内に99.9%を無税に
 (2005年 99.9%が無税)
(ブルネイへの輸出)
 10年以内に99.94%を無税に
 (2005年 32%が無税)

  自動車、同部品 3年以内に関税撤廃
   (現状 20%)

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インドネシアとの経済連携協定は8つ目。

これまでの締結国は以下の通り。
 1.シンガポール(2002年11月30日発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 2.メキシコ(2005年4月1日発効)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty161_1b.pdf
 3.マレーシア(2006年7月13日発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2006-6-2.htm#fta-malaysia
 4.フィリピン(2006年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/pdfs/gaiyo.pdf
 5.チリ(2007年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/pdfs/gaiyo.pdf
 6.タイ(2007年締結)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2007-04-1.htm#epa-thai

 7.ブルネイ・ダルサラーム(2007年6月締結:上記)
 8.インドネシア(2007年8月締結)

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付記

日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)は8月25日、マニラで経済相会台を開き、経済連携協定(EPA)の締結で最終台意した。

最終含意ポイント
日本は輸入額で90%の物品の関税を即時撤廃。
   3%は10年以内に撤廃。
   1%は自由化の例外で、コメや砂糖など。
インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイの6カ国は90%の関税を10年以内に撤廃。
ベトナムは15年以内に撤廃。
カンボジア、ラオス、ミャンマーは85%を18年以内に撤廃。
11月の首脳会合で署名。来年4月にも発効。
 

日本企業が薄型テレビの主要部品など高付加価値品を輸出して現地で組み立て、他のASEAN諸国に輸出する場合、これまで高率の関税がかかっていたが、今回の協定でこれがなくなる。日本企業はASEAN域内で一体的な生産ができるようになる。
ASEAN側は日本からの一層の投資拡大を期待している。

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