日本触媒は22日、130億円を投じてアクリル酸工場を再編すると発表した。
愛媛工場が老朽化していることと、高吸水性樹脂を中心とするアクリル酸誘導品の増強を見据え、愛媛工場を閉鎖し、姫路製造所で増強を行う。
同社は昨年末に姫路で160千トンのプラントの生産を開始し、同地での能力を380千トンとしている。
愛媛の80千トンは2002年にMMAとの事業交換で譲り受けたものだが、老朽化により修繕費用が年々増加しているため、約15億円をかけて解体撤去する。
2006/4/13 MMA事業の拡大
他方、姫路で115億円を投じて、2009年末完工予定で年産80千トンのプラントを建設する。
完成後の国内能力は愛媛停止前の460千トンに戻る。
同社はこのほか、米国、インドネシア、シンガポールに合計160千トンの能力を持っており、世界全体の能力は620千トンとなる。
社名 | 能力 (持分) |
備考 | ||
米国 | テキサス州 | American Acryl L.P. | 120千トン (60千トン) |
NA Industries (日触 100%) 50% Atofina 50% 〔ブチルアクリレート用〕 |
インドネシア | 西ジャワ州 アニール |
PT.Nippon Shokubai Indonesia |
60千トン (60千トン) |
日触 93.8% 旧 PT Nisshoku Tripolyta Acrylindo アクリル酸エステル 100千トン |
シンガポール | Sakra島 | Singapore Acrylic | 75千トン (40千トン) |
日触 51%、東亞合成 40%、住化 9% 住化/日触のアクリル酸/MMA事業交換 |
合計 | (160千トン) |
同社では世界シェア20%強を占める首位の独BASFを追撃すべく、2006年5月作成の新中長期経営計画では2010年頃に国内で更に160千トンの新設を折り込んでいる。(グラフは同社資料を編集)
Rohm & Haas はテキサスで165千トンを生産するとともに、Stockhausen との 50/50 JVのStoHaas Monomer(ドイツ)で430千トンを生産している。
Stockhausen (Degussa 子会社)はこれを高吸水性樹脂用に使用する。同社はJV設立の見返りにアクリル酸の商権をR&H に譲渡した。
日本の他のアクリル酸メーカーは次の通り。
千トン | 備考 | ||
三菱化学 | 四日市 | 110 | 南アにJV Sasol Dia Acrylates (South Africa) 80千トン |
大分ケミカル | 大分 | 60 | 東亞合成90%、昭和電工10% 日昭化薬(日本化薬/昭和電工 83/5停止)からアクリル酸事業引き継ぎ |
出光興産 | 愛知 | 50 |
2006/4/24 アクリル酸業界
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アクリル酸の主要用途の高吸水性樹脂(SAP)では同社は更なる新増設を検討している。
同社の2007年末の全世界能力は410千トンだが、新中長期経営計画では2010年頃に90千トンの新増設(場所未定)を折り込んでいる。
同社の場所別能力は以下の通り。(グラフは同社資料を編集)
2007年末 | 備考 | ||
日本 | 姫路 | 260千トン | 2007年60千トン増強 |
米国 | テキサス州 パサデナ市 | 60千トン | NA Industries, Inc,(日触 100%) |
ベルギー | アントワープ | 60千トン | NIPPON SHOKUBAI EUROPE N.V. |
中国 | 江蘇省張家港 | 30千トン | 日触化工(張家港)有限公司 |
合計 | 410千トン |
BASFは1998年にClariantの事業を買収、2000年には米国 AMCOLの子会社 Chemdal の事業を買収した。
2001年にはタイ、2002年にはアントワープ工場が完成、ブラジルでPetrobrasとのJV計画もある。
Degussa(当時はHuls)は1991年にStockhausen を買収した。米国とドイツに合計160千トンの能力を有している。
2006年2月にDegussa はDowの高吸水性樹脂事業を買収した。Dowのドイツのプラント(80千トン)を取得、米国のプラント(75千トン)では製造委託を行う。更に原料精製アクリル酸の長期供給契約を締結した。
同社は更に、ドイツのStockhausenの工場を本年中に増設する。(能力は発表していない)
原料のアクリル酸は上記のStoHaas Monomerの増設で賄うとしている。
日本の吸水性樹脂工業会メンバーは日本触媒のほか、サンダイヤポリマー(San-Dia)、住友精化、花王、荒川化学の4社。
サンダイヤポリマーは三洋化成60%/三菱化学40%のJV。
なお、東亞合成が10千トン設備を有していたが、撤退した。
日本 | 海外 | |||
日本触媒 | 姫路 | 200 (+60) |
3カ国(上記) | 150 |
サンダイヤポリマー |
名古屋 | 105 | 三大雅精細化学品(南通) | 20 (+30) |
大垣 | 20 | |||
計 | 125 | |||
住友精化 | 姫路 | 55 (+30) |
Sumitomo Seika Singapore | 55 |
花王 | 10 | |||
合計 | 390 (+90) |
225 (+30) |
日本の需給は以下の通り。(METI発表)
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