European Commission は IneosによるNorsk Hydroのビニルチェーン買収について調査を行なっているが、より詳細な調査が必要であるとして来年1月11日まで調査期間を延長すると発表した。
本来は8月24日までに結論を出すところを9月7日まで延長していたが、更に延長する。
INEOS は5月21日にNorsk Hydro からポリマー事業のKerling 社(旧称 Hydro Polymer)を670百万ユーロで買収する契約を締結したと発表した。同社は電解からVCM、PVC、コンパウンドを中心事業としている。
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収
EUはSuspension PVC (S PVC) のシェアを問題としている。
Norsk Hydro の資料では欧州のPVCの能力は以下の通りで、買収により Ineos 能力は約200万トンとなるが、他にも有力企業が存在している。
欧州のPVC能力 (Norsk Hydro 2007/2報告 単位:千トン) | ||||||||||||||||||||||
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EUによると、調査の結果、国別でみて非常に高いマーケットシェアの存在や市場の状況の違いなどからみて、S PVCの市場は地域的、国別市場であり、欧州経済領域(EEA)よりは狭いものである。
このため、今回の買収によりIneos は特定の国、特に英国、ノルウエー、スウェーデンなどでのS PVCの製造販売で強力な地位を占めることとなる。ドイツ、フランス、オランダなどの他のメーカーはIneos による値上げ努力を抑えるような競争圧力を発揮できないでいるとしている。
EU と欧州自由貿易連合(EFTA)は欧州経済領域(EEA)をつくり、統一市場(Single Market)創設の契約を締結しているが、実態がこれと両立しないものであるというもの。
EFTAは1958年の欧州経済共同体(EEC)の発足に伴い、EECの枠外にあった英国など欧州7か国が設立した。
その後の各国のEU参加で、現在のメンバーはスイス、ノールウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。但し、スイスはEEAに参加していない。
調査に際してIneos はEUの競争面での懸念を取り除く貯めに、いくつかの対策案を提示したが、EUは特に英国での競争面での不安を取り除くには不十分と判断し、更に詳細な調査をおこなうこととした。
今後、英国のS PVC市場に焦点を置いて調査をするとともに、ノルウエー、スウェーデンの市場や、苛性ソーダ、コンパウンド、硬質PVCフィルム市場への影響も調査する。
狭い欧州で、汎用品中心のPVCで、そういう状況は考え難いが、どうしてであろうか。
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