シェル等がイラクで石化事業?

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イラクの産業相はドバイで開かれたIraq Oil, Gas, Petrochemicals and Electricity Summit で、イラク政府がShell 及び Dow と、イラク南部での石化計画を協議していることを明らかにした。SABICも関心をよせているという。

Basra近郊のKhor Al Zubair にある旧国営石油化学企業(SEP)のPC-1 コンプレックスを復旧し、グレードアップすることを狙うもので21億ドルの投資を考えている。

産業相によると、現在、ローカル市場や輸出向けにどんな製品、どんな設備が必要かを評価しているという。

また、イラク政府が別途、イラク中央部又は北部で全く新しい石油化学プラントの建設を検討しており、本年中にも海外の投資家と協議を始めたいと述べた。
年産100万トン能力のエチレンと誘導品を考えており、20億ドル以上を投資するとしている。

 

PC-1は1970年代後半にLummus Thyssen Rheinstahが建設した。
エタンを原料にエチレン 130千トン、EDC 110千トン、VCM 66千トン、PVC 60千トン、LDPE
60千トン、HDPE 30千トンの構成である。
1980年に
完成したが、イラン・イラク戦争で操業は凍結された。
湾岸戦争での被爆後、1992年に部分再開し、2003年のイラク戦争でも余り被害を受けず、部分的に操業を開始している。しかし予算がなく、細々と動かしている模様である。

  2006/3/29 イラクの石油化学  

原料はBasraの日量120千バレルの製油所からと見られるが、同国の精油能力不足のため、石油化学向けには余り割けず、事業の採算は期待できない。長期的にはイラクの治安の確保と産業インフラの復旧が必要である。

しかし、イラク政府が石油化学への投資を望んでおり、Shell と Dow はこれに応じることで、イラクの石油産業が自由化される前に足場を築こうとしていると見られる。
何ヶ月ももめていた新石油法は間もなく議会で議論が始まる。

8月初めに Total Chevron がイラクで4番目に大きい Majnoon 油田(Basra北方)の開発を含め、イラクで共同でプロジェクトを行なう契約を締結した。

業界ではShell はイラク最大のRumaila 油田(Basra西方)の開発計画を練っているとしている。.

Shell の広報は、同社がイラク政府と多くの問題で話をしていることは認めたが、石化計画についてはコメントをしていない。
Dowはノーコメントとしている。

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これとは別にイラク政府は国営企業の建て直しのため、湾岸諸国を中心に外国企業とのJV構想を推進しようとしている。
鉱工業省では投資家に対し各企業の利益や損益分岐点、回収期間等の詳細情報を提供している。

2006年に成立した投資法(No.3)は登録やライセンス取得手続きの簡素化、土地の割当、コンサルタントサービスの提供、情報提供、税免除などによる海外からの投資推進を規定している。政府は国産品保護の法律も設定しようとしている。

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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