四川省の普光から上海まで通じる全長1,700キロに達する天然ガスパイプライン敷設プロジェクト「川気東送プロジェクト」の工事着工が8月31日、北京で宣言された。この工事は、三峡ダム、西気東輸、青蔵鉄道、南水北調に次ぐ5大プロジェクトと言われている。
「西気東輸」は西部の天然ガスを東部に輸送するもので、新彊のタリム盆地から甘粛、寧夏、陝西、山西、河南、安徽、江蘇、浙江、上海と続く総延長4000キロのパイプラインを建設した。2005年に開通。
「南水北調」は長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、西北地区と華北地区の各地に引水するもので、東線、中央線、西線の3ルートがある。
総延長は3700キロ、総工費は約1兆5000億円。
水路が作られているが、肝心の揚子江の水が汚染されて飲み水に適さないという。参考 2006/7/6 中国、今年の西部開発12事業を発表
同プロジェクトでは中国石油化工集団(Sinopec)が投資、運営を行い、総投資額は627億元に達する。
普光ガス田をおもな供給源とする「川気東送」プロジェクトでは、四川と重慶で使われるガスを合理的に供給することを前提とした上で、主に江蘇省、浙江省、上海に、さらに沿線の湖北省、安徽省、江西省にガスを供給する。
2010年末には年産120億立方メートルの生産能力を確保する見込み。
これにより、全国を網羅する天然ガスパイプライン網が形作られる。
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また、中国石油天然ガス集団公司(ペトロチャイナ)は8月27日、2本目の「西気東輸」パイプラインを建設すると発表した。2008年に着工し、2010年に輸送を開始する。
新疆ウイグル族自治区から天然ガスを珠江デルタと長江デルタに輸送する予定で、トルクメニスタン、カザフスタンなどの中央アジア国家を主要な供給源とする。
同社は今年7月、トルクメニスタンと協定に調印しており、すでに稼働している中央アジア天然ガスパイプライン経由で、年間300億立方メートルの天然ガスを霍爾果斯(ホルゴス)から2本目のパイプラインに引き入れるという。
国産天然ガスの供給 | ||||||||||||||||||||||||||||
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(図と表は 石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料 から) |
平湖ガス田は東シナ海の日中中間線の近くにある。1998年から生産を開始した。
海域にはほかに春暁、断橋、天外天、冷泉、龍井のガス田が確認されているが、春暁、断橋では埋蔵地域が日本側海域に掛かっているため両国間の問題になっている。日本政府は天外天、龍井についても中間線を越えて広がっている可能性を指摘している。
中国では一次エネルギー消費のうち、クリーンな天然ガスの比率を2005年の2.8%から2010年には5.3%にアップしようとしている。
しかし、沿岸部の需要の急増で供給が追いつかない状況で、「川気東送プロジェクト」と2本目の「西気東輸」はこの対策である。
国家発展改革委員会(NDRC)はこのたび、新しい天然ガス活用政策を発表した。8月30日から適用される。
限られた天然ガスの消費を最適化し、省エネを推進することを狙っている。
天然ガスの利用は、都市ガス、産業ガス、発電、化学品の4つに分類され、都市ガス用の利用が最優先される一方、メタノール用の使用が禁止された。社会面、環境面、経済面を考えた選択としている。
メタノールについては、これから建設を開始する計画が禁止されるが、稼動中のものや建設完了のもの、ガスの供給契約を締結済みの建設中のものについては除外される。(三菱ガス化学の重慶計画もOK)
2006年の中国のメタノールの生産量は 762万トンだが、メタノール能力のうち、75~80%が石炭ベース、20%程度が天然ガスベースで、残り僅かがコークス炉ガスやオフガスとなっている。
他の石油化学や発電用も制限又は禁止された。例えば石炭が豊富な地域での天然ガスによる発電は禁止される。
また、パイプ輸送を進めるため、大規模、中規模のガス田でのLNG製造計画が禁止された。
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