1.CO2からプラスチック
中国海洋石油の子会社の中海石油化学(China BlueChemical Ltd)が生分解性プラスチック製造のためポリプロピレンカーボネート(PPC)プラントの建設を開始したことを報告した。
2007/8/20 中国のCNOOC子会社が生分解性プラスチック製造
PPCは二酸化炭素とプロピレンオキサイドのコポリマーで、海南島東方市の化学産業都市で年間 3,000トン生産する。
中国科学院・長春応用化学研究所が独自に開発した特許技術を使用している。二酸化炭素からプラスチックなどの高分子をつくる技術は東京理科大学の井上祥平教授(東大名誉教授:当時、東大助教授)と東大の鯉沼秀臣客員教授(当時、東大大学院生)が約40年前に見つけた。
内蒙古の蒙西高分子材料有限公司が長春応用化学研究所からライセンスを受け、内蒙古のオルドスに年産 3,000トンの工場を持ち、2002年12月に販売開始している。
東京大学、住友化学などの産学チームは9月11日、二酸化炭素からプラスチックを作ることに成功し、量産技術の開発を始めると発表した。(日本経済新聞)
野崎京子東大教授らは新しい触媒で耐熱性を改善し実用化のめどをつけた。
新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けて、2012年度にも実用化する。
参加メンバーは以下の通り。
東大、東京理科大学、慶応義塾大学、金沢大学
住友化学、住友精化(生産担当)
帝人(加工担当)
三菱商事(販路開拓担当)
参考 野崎研究室 研究内容 http://www.chem.t.u-tokyo.ac.jp/chembio/labs/nozaki/
(CO、CO2などの小分子を用いた合成反応
http://www.chem.t.u-tokyo.ac.jp/chembio/labs/nozaki/researchdetail2.html )
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2.三菱化学、南ア・Sasol 社とのアクリル酸及びアクリル酸エステルの合弁事業解消
三菱化学は2001年12月に南アのSasol 社との間でアクリル酸及びアクリル酸エステルの共同事業について合弁会社を設立することで基本合意した。その後、2003年9月にEUの承認を得て2つの合弁会社を設立し、2004年4月に製品出荷を開始した。
①Sasol Dia Acrylates (Pty) Limited (本社:南ア)
三菱化学 50%、Sasol 50% 出資で、アクリル酸及びアクリル酸エステルの販売、投資等の事業管理を目的とする。
②Sasol Dia Acrylates (South Africa) (Pty) Limited (本社:南ア)
①のJVが50%、Sasol 50% 出資
Sasol 社 Sasolburg工場敷地内に、アクリル酸 80千トン、アクリル酸ブチル 80千トン、アクリル酸エチル 35千トン、精製アクリル酸 10千トンを生産。
2006/4/24 アクリル酸業界
三菱化学は9月10日、Sasol との合弁事業を解消することに合意したと発表した。
合弁事業の経営について将来の方向性を協議した結果、それぞれが独自に事業を継続するほうが両社にとってメリットがあるとの結論に達したもの。
三菱化学が事業管理合弁会社(上記①)の持分50%をSasol に譲渡、自動的に①②ともにSasol の100%子会社となる。
同社は合弁解消後もSasol からの製品の引取権を持つ。
また、2004年8月に技術供与した中国藍星社のグループ会社の沈陽パラフィンが遼寧省沈陽市で建設したアクリル酸(80千トン)、同エステル(120千トン)の製品の一部の引取り権を有している。
三菱化学では、四日市事業所におけるAA及びAEの一貫生産体制にこれらの引取り権を加え、引き続き、日本市場、国際市場における事業展開を図り、AA及びAEの川上製品から高吸水性樹脂(SAP)やエマルジョン等の川下製品までの「トータル・アクリレート・チェーン」での事業展開を進めていくとしている。
競合する日本触媒については 2007/8/31 日本触媒 アクリル酸工場再編 参照
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3、ダノンとワハハの争い
仏の食品メーカーのダノン Danone が出資する中国の合弁企業「杭州娃哈哈集団」Hangzhou Wahaha Group の飲料水「娃哈哈」(Wahaha)のブランド使用をめぐるダノンと中国側相手の対立がドロ沼化している。
1996年2月に宗慶後が主導するWahaha Group と Danone が商標移転契約(WahahaブランドをJVに)、非競合契約、守秘契約を含むJV契約を締結し、JVを設立したが、Wahaha側がこっそりと他の会社でWahahaブランド製品を販売していることから争いが起こった。
2007/7/12 ダノンとワハハの争い、更に深刻化
Wahaha 側は6月13日に杭州市の仲裁委員会に仲裁を要請したが、Danone は7月12日に、杭州市の仲裁委員会に反論を提出した。
Wahahaが1996年の商標移管契約を完全には実行しておらず、最近になって商標管理当局が商標移管を認めなかったと嘘をついているとした。DanoneはWahahaに対して商標移管の対価として660万ドルを支払ったとしている。
しかし、実際に商標管理当局が商標移管を認めなかったことが明らかになり、Danone側は8月末に北京裁判所に中国特許庁を訴えた。
商標移管の承認拒否の理由を書面で説明しなかったため、商標法の規則に違反しており、この決定を取り消すべきであるというもの。
訴えによると、Wahahaは1996年4月と1997年9月にWahaha Food Co.に帰属する200以上の登録商標を移管する承認を求めたが、当局は、商標所有権の喪失を避けるための企業商標管理規則(1995年施行)を理由にこの2つの申請を拒否した。
裁判所はこの訴えを受け付けたが、裁判の期日は決まっていない。
そのような規則が存在している以上、Danone側の勝ち目は少ないと思われる。
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4.BASFのスチレン事業の売却
BASFのJurgen Hambrecht CEOは8月1日の2007年第2四半期の業績発表の席上、 スチレン事業の一部の売却に関して、買い手候補のある1社と極めて建設的な交渉を行っていることを明らかにした。
2007/8/6 BASF、スチレン事業一部の売却交渉進展
その後、一向に発表がない。
ドイツの新聞は、この交渉相手がBasell (元のShellとの50/50JV)であると伝えた。
しかし、事業価値の評価の違いや、BASF内部での意見の違いで話は進んでいない模様である。
Basellは本年7月に Lyondell の全株式を127億ドル(借入金込み 190億ドル)で買収することで合意した。
Lyondell はPOとの併産設備でSMを生産しているほか、エチレンももっている。
また、Basell 自体がエチレンを持ち、更にShellから製油所も買収している。
2007/8/7 Basell、Shell France から製油所買収へ
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5.信越化学、ドイツで医薬用メチルセルロース生産へ
3月20日の信越化学直江津工場の爆発事故で、セルロース誘導体の生産が停まり、医薬業界にパニックが起こった。
信越化学の生産拠点は国内は直江津しかなく、ドイツ子会社でも医薬用グレードは生産していない。
2007/3/22 信越化学 爆発事故
2007/5/22 信越化学、直江津のセルロース製造設備の生産再開
信越化学は9月6日、ドイツ子会社SE Tylose GmbH & Co.KGで2009年4月を目途に医薬用メチルセルロースの生産を開始すると発表した。直江津工場でも2008年10月を目途に医薬用の生産能力を増強する。
ドイツでは建材用も能力を増強し、ドイツの年産能力は約1万トン増加し、約5万トンとなる。日独合わせた投資額は約300億円。
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6.Bayer、MDI増設検討
Bayer MaterialScience は9月12日、欧州で2012年スタート目途に400千トンのMDI プラント建設を検討していることを発表した。
中長期的に西欧、東欧、中東での需要が伸びるのに対応する。
現在の同社のMDI 能力は110万トン。
2006/12/20 Bayer、MDI 能力 約110万トンに
今回の設備が完成すると、2008年スタートの上海の350千トンを加え、全世界能力は 1,850千トンとなる。
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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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