OPECは9月11日に原油生産枠を11月1日から、既存枠からは140万バレル増の2720万バレル/日にすると発表した。
2007/9/12 速報 OPEC増産
従来の増枠は現状追認が多かったが、今回は実生産量から50万バレル増であり、これで価格は下がるのではと思われた。
しかし、その後の動きは予想に反して上昇を続け、連日過去最高を更新している。
NY WTI | 東京 ドバイ | |
(過去最高) | (2007/8/1 一時 78.77$/bbl) | (2006/8/8 72.30$/bbl ) |
9/12 | 一時 80.18$/bbl 過去最高 | 終値 72.90$/bbl 過去最高 |
9/13 | 一時 80.20$/bbl 過去最高 (終値は80.09$ 過去最高) |
終値 73.60$/bbl 過去最高 |
9/14 | 一時 80.36$/bbl 過去最高 (終値は79.10$) |
終値 73.70$/bbl 過去最高 |
9/17 | 一時 80.70$/bbl 過去最高 (終値は80.57$ 過去最高) |
(祭日) |
9/18 | 一時 82.16$/bbl 過去最高 (終値は81.51$ 過去最高) |
終値 74.30$/bbl 過去最高 |
OPECの事務局長は14日、現在の世界の経済情勢から考え、80ドル以上の高値が続くことはないと述べた。
現在の高値の理由としては、次の3つを挙げている。
①Hurricane Humberto(2年ぶりに米国上陸)
メキシコ湾で発生した熱帯暴風雨が9月13日早朝、勢力を強めて Hurricane Humberto となった。
米国南部テキサス州沿岸部に上陸しルイジアナ州へ進んだ。両州で12万戸が停電し、複数の石油関連施設が操業停止に追い込まれた。
②メキシコのパイプライン爆破
左派グループが9月10日、6箇所で石油とガスのパイプラインを爆破した。
③米国の製油能力の不足
OPECが12月総会で更に増産するのかとの質問には答えず、OPECは今後の石油の需給や在庫の状況を注視するとした。
なお、OPEC筋は18日、原油価格が15-20日以上にわたって80ドル/バレルを上回る水準を維持した場合、増産について再度協議を行う可能性が高いとの見方を示した。
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週明け17日のニューヨーク・マーカンタイル取引所ではWTI 10月渡しが一時、史上最高値を更新、終値も最高値となった。
18日に米政策金利が引き下げられ米経済が成長基調を維持して原油需要が伸びるとの見通しから買い注文が集まった。
米連邦準備理事会(FRB)は18日(日本時間18日夜)の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、年4.75%とすることを全会一致で決め、即日実施した。
これ受け、ニューヨーク・マーカンタイル取引所のWTI は直後に82ドルを超えた。終値は前日比94セント高となった。
要は投機マネーが流入し、原油価格を引き上げている。
大田弘子経済財政担当相は14日、閣僚懇談会後の会見で、
「投機的なマネーによる部分があり、短期的には上がったり下がったりする。懸念しながらみている。長期的には全体的な需給バランスによる」とし、原油価格の高騰が足元の経済に及ぼす影響を注視していると述べた。
東京市場 原油・ナフサ価格推移 | |
付記 その後の価格推移
9月20日にはWTIは一時 84.10$ の過去最高となった。
しかし、その後は利食い売りが始まり、24日にはハリケーンの被害が懸念されたほどでなかったため、石油製品の供給懸念が解消し、売りが優勢となった。25日には80$を割った。
東京市場も21日に過去最高となったが、連休明けには値下がりに転じた。
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