旭硝子は9月12日、旭ファイバーグラスの事業を譲渡することを決めた。
旭ファイバーグラスのガラス短繊維事業と工業材料事業を、日本政策投資銀行と、WISE PARTNERSの運営するファンドの共同出資による持株会社のグローバル・インシュレーションに160.5億円で譲渡する。11月1日に譲渡の予定。
旭ファイバーグラスは1956年に旭硝子と世界最大のガラス繊維製造メーカー Owens Corning Fiberglass (その後Owens Corninと改称)の共同出資で設立された。その後、1996年にOwens が全持株を旭硝子に譲渡した。
なお、2006年に長繊維事業をOwens に譲渡している。
現在の事業は次の2つ。
①断熱・建材事業
住宅を中心としたグラスウール断熱材、断熱・建材、配管用保温保冷材、グラスウール吸音材など。
②工業材料
各種樹脂と強化材や添加剤とを混練したFTPペレット、樹脂の機能を高めるミルドファイバー、自動車用インシュレーター、樹脂の難燃化・発煙防止に有効なガラスパウダー、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂コンパウンドなど。
旭硝子では事業ポートフォリオの見直しと経営資源の再配分について継続的に検討しているが、本事業はグループとして積極的に資源投入を図る事業分野とのシナジーが少ないと判断した。
旭ファイバーグラスの事業を新設会社に分離し、その全株式を譲渡する。
土地・建物等の非営業資産は旭硝子が保有する旧会社(AGCエステートに改称)に残す。
譲渡先のグローバル・インシュレーションは本件のために設立されたJVで、日本政策投資銀行と、WISE PARTNERSの運営するファンド(WP1号ファンド)が共同出資した。
日本政策投資銀行は2008年10月の民営化を前にファンドへの転換を急いでおり、これまでに蓄積した事業評価能力、再生支援のノウハウを利用し、未公開株に投資し、再生して、新規株式上場(IPO) 目指す。今回はその初のケースとなる。
旭ファイバーグラスの良質な事業基盤、住宅の省エネ効果の高い断熱材事業、高い技術力の工業材料事業を評価し、旭硝子から独立した事業運営を支援することとした。
経営陣及び従業員による資本参加も検討されており、彼らが自立的かつ意欲的に事業に臨むことにより、今後更なる企業価値の向上が期待されるとしている。
WISE PARTNERSとともに、ファイナンス面やネットワーク等の提供、様々な経営資源の補完等中長期的な視点に立った企業成長を支援し、株式公開を目指す。
日本政策投資銀行では、今後もこうした取組みを積極的に進めていくとしている。
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なお、旭硝子は中小型の液晶パネル事業からも撤退を検討していることが報じられた。
旭硝子が6割、三菱電機が4割を出資するオプトレックスは、この数年業績が悪化しており、旭硝子ではこれを売却して、本業の板ガラスや液晶、プラズマテレビ用のガラス基板事業などに経営資源を集中きせる。
中・小型液晶パネル分野では2004年10月にセイコーエプソンと三洋電機が、この分野でのNo.1 カンパニーを目指すとして、三洋エプソンイメージングデバイス(エプソン55%/サンヨー45%)を設立したが、事業を取り巻く競争の激化により、予想を上回る大幅な価格低下などが続くなか、2006年12月に三洋が撤退し、エプソンイメージングデバイスと改称している。
米ディスプレイサーチによると、2006年の中・小型液晶パネルのシェアは、オプトレクスは1.1%、エプソンイメージングデバイスは10.2%(3位)。なお、トップはシャープの21.1%、2位は東芝松下ディスプレイテクノジーの11.8%。
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