石原産業、日本製紙の電解設備を移設し、自製

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酸化チタンメーカーの石原産業は、日本製紙ケミカルが2006年に操業停止した電解設備を購入し、岩国から四日市に移設して、酸化チタン製造用の塩素、苛性ソーダを自製する。来年8月に稼動する予定。

日本製紙ケミカルはクラフトパルプの漂白用に岩国工場(旧山陽パルプ)で 2,778トン/月(ソーダ)の電解設備を操業していたが、漂白過程でパルプ中のリグニンから生成するダイオキシン等の有機塩素化合物が河川や海域の環境を汚染し,大きな社会問題となっていることから、各社とも非塩素漂白(ECF)に切り替えつつあり、日本製紙もECF化を行なった。

岩国工場では二酸化塩素を使用した最新漂白法を採用。
八代工場に2ラインのうち1ラインにはオゾン漂白設備(勇払工場に続く2基目)を導入。

この結果、日本製紙ケミカルは2006年3月末をもって電解事業から撤退した。

 

酸化チタンは以下の通り幅広く使われている。
  塗料43%、インキ20%、プラスチック11%、製紙11%、化学繊維2%、ゴム2%、電子材料1%、その他10%

石原産業はトップメーカーで、四日市工場に硫酸法で8万7千トン、塩素法で同6万8千トン、計15万5千トンの酸化チタンの設備を保有している。

硫酸法イルメナイト(チタン鉄鉱 FeTiO3)を原料とする。
チタン原料鉱石は粉砕され、約300℃に加熱された濃硫酸により、酸化チタン分が硫酸塩(TiOSO4)となる。
その後、焼成、粉砕され、仕上げ処理が行なわれる。
TiO2 50~60%のイルメナイトを大量(原単位3~4t)の硫酸で処理するため産業廃棄物が多く、公害処理費が大きい。

塩素法はルチル鉱または合成ルチル(TiO2)を原料とする。
塩素化して四塩化チタン TiCl4とし、これを高温で酸化して、仕上げ処理が行なわれる。
TiO2 90%のルチルを塩素で処理し、塩素は90%回収するため産業廃棄物は硫酸法の1/10以下で、公害対策設備費は1
/3以下といわれる。

石原産業は硫酸法で以前に廃硫酸を中和処理せずに伊勢湾に捨てて有罪判決を受けており、最近問題になったフェロシルト不法投棄事件も廃硫酸の処理に関して発生した。

廃棄物の少ない塩素法への切り替えを求める声が強い。

   2006/11/13 石原産業フェロシルト不法投棄事件 

石原産業では、今回の設備購入により、現在購入している塩素と苛性ソーダを自製し、コストダウンを図る。

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日本の電解プラントは設備廃棄が相次ぎ、最盛期の1974年当時には38社、54工場あったが、2006年9月には25社、30工場に減少している。

設備廃棄の中には、セントラル化学(川崎)、三井化学(大阪)、千葉電解(千葉)のように、VCM停止に伴うものがある。

このほかに、最近10年程度の間に以下のプラントが停止している。

関東電化(渋川)、三井化学(名古屋)、日本カーバイト工業(魚津)、旭硝子(北九州)、
住友化学(大分)、日本製紙ケミカル(岩国)、関西クロルアルカリ(大阪)

 

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