Dow の買収情報漏洩事件で新たな展開

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本年春に、Dow の買収話--- Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi ArabiaKuwaitBahrainQatarUAEOman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルでDowを買収---の報道がなされた。

直後の4月9日、Dowの取締役会は声明を発表し、「会社はLBOについて議論したことがない」とした。

そしてDowは4月12日、Executive Vice President Romeo Kreinberg ともう一人が、Dow の行動基準に極めて不適切に、また明らかに違反し、会社の被買収に関して第三者に話をしたとして解雇したと発表した。

   2007/4/13 速報 Dowが買収情報漏えいで役員を解雇  

その後の報道によると、買収の幹事とされる JPMorgan Chase の役員がDow のCEO Andrew Liveris に対し、2人が買収話に参加したことを明らかにしたとされる。

Liveris CEO が現在の事業での改革を考えているのに対して、Specialty Plastics and Chemicals を担当するKreinberg は汎用品事業の切捨てを主張し、意見が対立していたとも報じられた。

その後、両者は互いに告訴をしている。

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今回、Kreinberg JPMorgan Chase をミシガン連邦地裁に訴えた。

JPMorgan Dowが繰り返される買収の噂のソースを探しているときに、Dowに黙って買収の協議をしていたことを明らかにせず、永年の顧客のDow を騙したとの主張である。

JPMorgan 「ユダ」 と呼び、2006年の末からオマーンとクウェートの投資家とDow の買収の話を始めたが、2007年に噂が市場に出回り、CEOが怒っているのを知り、その失敗を補うため、CEOとの仲が悪いとされるKreinberg の責任にしたとしている。

CEOがJP Morgan との会議の席で、「首を取りたい」と言って、Kreinberg を買収話に巻き込むのを手伝うよう求めたとしている。

DowはKreinberg が買収の協議に参加しただけではなく、聞かれたときにDow に伝えなかったとしているが、Kreinberg 自身は協議に参加していないとする。
事実は、オマーンの
DowのJVでの会議中に、JP Morgan がやってきて、Dow の買収提案をした際に支援が得られるかどうかを知るため、CEO以外のDowのトップとの会合を求めたという。Kreinberg は秘密情報はなんら明らかにせず、もし買収提案がなされても、Dowは防御するか、門前払いをするだけだと答えたとしている。

JP Morgan では、この主張は法的にも事実上も根拠のないもので、却下されると確信しているとしている。

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