欧州最大買収ファンドのペルミラ、農薬大手アリスタ買収

| コメント(0)

欧州最大の買収ファンド、英ペルミラ(Permira)は10月22日、農薬大手のアリスタライフサイエンス(Arysta LifeScience)を買収すると発表した。
買収総額は約2,500億円。
米系投資ファンドのオリンパス・キャピタル(
Olympus Capital) が保有する全株式を2008年1-3月中に譲り受けることで合意した。
ペルミラにとっては日本での第1号の買収案件となり、今後、日本への投資を加速させる方針。
    

アリスタライフサイエンスはトーメンとニチメンの農業化学品事業、および医薬・動物薬関連事業を統合したもので、2001年1月に統合で合意し、2001年10月に設立された。
ライフサイエンス分野、特に農薬事業において、川上分野で突出した生産・研究・開発機能を発揮するトーメンと、海外川下分野で商社業界トップの展開を図るニチメンとが、事業統合により、農薬の生産、開発・登録、普及販売および商社としての総合機能を兼ね備えた商社業界トップのグローバルな農薬事業会社を誕生させるとした。統合会社はバイオ事業をも視野に入れたライフサイエンス事業会社を目指した。

当初の出資比率は以下の通り。
  トーメン 
40%
  ニチメン
40%
  ティーエムインベストメント 17%
  豊田通商 
2%
  UFJ銀行 1%

  * ティーエムインベストメントはトーメングループおよび戦略的投資家が出資
     その後、
トーメン100%、2004/3/31に豊田通商が吸収合併
  * 豊田通商は2000年にトーメンと
資本・業務提携
     
2006/4/1 トーメンを吸収合併
  * ニチメン 2003年4月、日商岩井と統合、現在 双日

その後、2002年9月に、アジアで活動する米系ファンドのオリンパス・キャピタル(Olympus Capital) が出資、その後段階的に出資比率を上げ、2006年12月に豊田通商の持株を、2007年6月にニチメンの持株を買収し、100%株主となったが、今夏から入札で買い手を募っていた。

豊田通商、ニチメンとも、株式売却理由を事業ポートフォリオの見直しと経営資源の再配分としている。

入札には Bain Capital Advantage Partners、インドの化学メーカー United Phosphorus Ltd、オーストラリアの農薬会社 Nufarm Ltd.などが参加したが、Permiraが獲得した。
買収価額もだが、
サブプライムローン問題がM&A市場にも波及して、欧米ではファンドによる10億ユーロを超える買収案件がほぼ停止しているなかで、資金調達ができることがPermiraが獲得した最大の理由である。

Permiraは買収額のうち1,000億円強をファンド資金から拠出し、残り1,500億円弱はJPモルガンなど米系金融機関に欧州や国内の銀行も加わり、数十行が協調融資する見込み。

ーーー

アリスタライフサイエンスは農薬部門とライフサイエンス部門からなっており、2006年の売上高は1,241億円で、85%を海外で稼いでいる。
農薬については、日本メーカーとの提携と製造戦略をベースに、北米、欧州・アフリカ、南米の主要子会社3社を通して販売、マーケティング、流通活動を行っている。
ライフサイエンス部門では、ヘルスケア(医薬品、医薬品添加物、化粧品原料、健康食品など)、有機化学中間体(芳香、複素環式、変換複合物の生産と販売など)、動物薬製品(動物薬、飼料添加物) を扱っている。
   
Arysta LifeScience http://www.arystalifescience.com/

社長・最高経営責任者のクリストファー・リチャーズは20年間シンジェンタ及びその前身企業で、国際部門のマネージメントやリーダーとしての様々な役職を経験した。
買収後も社長をはじめ現経営陣はそのまま残り、経営陣が一部出資するMBO(経営陣が参加する買収)の形をとる。

ーーー

Permiraは1985に設立した買収ファンドで、運用資産は約220億ユーロ。欧州ではドイツやハンガリーなどの化学メーカーを買収した実績があり、それらの投資経験を生かしてアリスタの成長を後押しする。
   Permira http://www.permira.jp/jp/about/aboutus.html

ーーーー

* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

コメントする

月別 アーカイブ