シンガポール系の化学会社で、中国で第4位のイオン交換膜法クロルアルカリメーカー、第5位のアニリンメーカーのSP Chemicalsは9月18日、スチレンモノマー進出を発表、 9月27日に江蘇省泰州市政府と契約書を締結した。
揚子江沿いの泰州市の泰興経済開発区(Taixing Economic Development Zone)に 146百万ドルを投じて年産32万トンのSMプラントを建設する。
資金の1/3は内部留保、残りは銀行借入を考えている。
2008年第3四半期に着工し、2009年末完成を目指す。
原料エチレン、ベンゼンのソースについては明らかにしていない。技術については、まだ決まっていない。
江蘇省と隣の浙江省は中国で最も重要なSM市場であり、成長が著しい。同社によれば2006年の両省のSMの需要は約350万トンとなっており、同社では需要の中心の泰興経済開発区にプラントを建設することにより、この成長する需要に応えたいとしている。
中国の2006年のSMの生産量は1,924千トン、輸入量は2,343千トンで、消費量は4,261千トン、自給率は45%となっている。
2006年の両省のSMの需要約350万トンは全国の需要の80%となる。
また、SP Chemicals は既に泰興経済開発区にVCMプラントを建設中で、そのエチレンタンクやair separator などをそのまま利用できるメリットもあるとしている。
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SP Chemicals はシンガポールの投資会社Panasia Investment Pte Ltd.(1995年に Asiawide Chemicals Pte Ltd と改称)が1995年に中国に100%子会社の Singpu Chemicals Industries (Taixing) Co., Ltd として設立したもの。
その後、2005年に親会社は SP Chemicals Ltd.、子会社は SP Chemicals (Taixing) Ltd. に改称した。
SP Chemicals (Taixing) はイオン交換膜法クロルアルカリとアニリンのプラントを有していた。
塩素:132千トン、ソーダ:150千トン
アニリン:45千トン
その後、同社はMedium-Term Strategic Business Plan に基づき拡大を続けてきた。
1) Co-generation
当初は60MWを計画していたが、電力需要の増大を見込み、2基合計 120MW を建設した。2) 第4期増設計画
それぞれの能力を倍増した。
塩素:264千トン、ソーダ:300千トン
アニリン:90千トン3) EDCベース VCM プラント建設
能力 200千トン同社はVCM と PVC の事業化を検討したが、建設費のアップを受け、VCM を先行することとした。
4) 第5期増設計画
電解、アニリンの増設中で、増設後の能力は、
塩素:396千トン、ソーダ:450千トン
アニリン:135千トン
今回、新しくスチレンモノマーが追加される。
同社では将来は原料安定確保のために上流のエチレン、PVCなど誘導品への進出も考えている。
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シンガポールのSP Chemicals は本年4月にベトナムのPhu Yun 省との間で、同省のHao Tam-Vung Ro に石化コンプレックスを建設する覚書を締結した。
12億ドルを投じて、クロルアルカリ、アニリン等の工場を建設する計画で、詳細はFSの結果次第としている。
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