主要会社 中間決算-1

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各社の中間決算が順次、発表されている。

信越化学決算は 既報  2007/10/30  信越化学 中間決算 

総合化学5社(住友化学、三菱ケミカル、三井化学、旭化成、東ソー)の決算は以下の通り。
住友化学のみが営業損益で減益となっている。

ーーー

住友化学 

増収だが、石油化学と情報電子化学が大幅減益となったことで営業損益、経常損益は減少した。
更に、前期の投資有価証券売却益がなくなり、特別損益が前期比 183億円の減益となったことから、当期損益は半減した。
配当は年間12円を据え置く。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間  854,621  425,773   68,214  19,214  75,920  36,922  53,283  56,783   5.0  
07/9中間  931,896  444,878   48,364   6,865  57,664  23,401  26,396  18,737   6.0  
                     
06/3 1,556,606  755,037  120,790  30,795  141,127  62,159  90,665  50,956   4.0   6.0
07/3 1,790,026  885,557  139,623  45,928  157,981  70,595  93,860  83,711   5.0   7.0
08/3 1,940,000  940,000  120,000  32,000  125,000  50,000  70,000  42,000   6.0   6.0
営業損益対比(億円)
  06/9中 07/9中 増減   07/3 08/3
予想
基礎化学    59    79    20     135   170
石油化学    74    20    -54     236   100
精密化学    73    61    -11     131   130
情報電子化学    63   -63   -126      35   110
農業化学   122   108   -14     233   210
医薬品   262   260    -3     562   470
その他    34    22   -12      80    10
全社    -6    -5    1     -15    -
営業損益合計   682   484   -199    1,396  1,200

石油化学部門は原料価格の高騰や、千葉工場の4年に一度の大型定期修理の影響(約30億円の減益)により、前年同期に比べ54億円の減益となった。

情報電子化学は韓国の偏光フィルム販売が軌道に乗り、売上を伸ばしたが、国際市況の下落や設備増強に伴う固定費の増加などから営業利益は赤字となった。(昨年下期も赤字)

但し、「偏光フィルムは海外では品不足になるほど需要が拡大しており、操業度や生産効率も上がってきている」としており、通期では情報電子化学の営業損益は110億円の黒字としている。

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三菱ケミカルホールディングス

石油化学が好調で、営業損益は増益となった。
当期損益については、前中間期に自社株取得に関連して法人税等調整額が
-56億円だったのが62億円と、差引118億円増えたこともあり、40%の減益となった。
配当は昨年の年間14円を16円に増やす。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間 1,263,457   22,275   56,640  21,187  64,531  21,115   61,945  42,896   7.0  
07/9中間 1,389,814   16,206   66,487  15,091  70,578  14,703   38,164  42,752   8.0  
                     
06/3 2,408,945    1,487  133,619    438  143,575    144   85,569    81   3.0   8.0
07/3 2,622,820   36,800  128,589  34,553  141,296  33,978  100,338  55,898   7.0   7.0
08/3 2,970,000     148,000     149,000     186,000      8.0   8.0
営業損益対比(億円)
  06/9中 07/9中 増減   07/3 08/3
予想
石化    71    170    99     282   
機能化学   160    179    20     350   
機能材料   120    108   -12     243   
ヘルスケア   204    212    8     396   
サービス    48    48    -     106   
全社   -36    -52   -16     -92   
営業損益合計   566   665    98    1,286  1,480

石化部門は、テレフタル酸の海外市況は弱含みで推移したが、1,4ブタンジオール等全般的は市況上昇や生産トラブル減少で増益となった。

11月9日の日本経済新聞によると、同社はPTAの減産を強化する。
主原料のパラキシレンが高騰する中、PTAは供給過剰で価格が低迷していることに対応するもの。
現在、年間能力比で2割弱の減産をしているが、3月に立ち上げた中国浙江省の新工場(年産60万トン)を12月後半から休止する。再開時期は未定。これを加えると年間3割強の減産になる。

なお、同社は棚卸資産の評価について総平均法をとっている。
上期のようにナフサ価格が急上昇している場合、住友化学や三井化学のような後入先出法会社では当期の高いナフサ価格に基づく高い製品価格が原価となるが、同社の場合は前期末残の安い価格と平均されたものが原価となり、利益が多目に出る。

2007年10月1日に田辺三菱製薬が誕生した。
2008年3月の営業損益(予想)は520億円だが、これは三菱ウェルファーマの中間決算に新しい田辺三菱製薬の下期予想を加えたもの。
グラフでは対比のため、田辺製薬の上期(184億円:棒グラフの下部)を加えた。

ーーー

三井化学

ウレタン原料の市況が高騰し、採算が大幅に向上したのが貢献し、増収増益となった。
当期利益は法人税等調整額が35億円増加し、若干の減益となった。
配当は前年の年間10円を12円にアップする。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間  833,985  490,591   33,488   9,714  36,744  15,001  20,292   9,406   4.0  
07/9中間  881,591  510,756   42,733  13,700  40,488  16,902  20,152   8,588   6.0  
                     
06/3 1,472,435  852,955   58,705  25,552   61,989  34,246  44,125   14,967   4.0   4.0
07/3 1,688,062  991,787   91,678  31,720   95,478  38,373  52,297   20,996    4.0   6.0
08/3 1,800,000 1,050,000   90,000  26,000   87,000  31,000  43,000   22,000   6.0   6.0

 

営業損益対比(億円)
  06/9中 07/9中 増減   07/3 08/3
予想
機能材料    82    190   108     259   380
先端化学品    48    50    2     117   120
基礎化学品   198    196   - 2     531   430
その他    19     14   - 5      36    20
全社   -12    -23   -11     -26   -50
営業損益合計   335   427    92     917   900

    

同社は今期より区分を変更した。

従来区分 新区分
機能樹脂 エラストマー、機能性ポリマー、工業樹脂、ウレタン樹脂原料 機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、ウレタン樹脂原料
機能性ポリマー 電子・情報材
電子材料、情報材料
生活・エネルギー材(機能加工品)
機能化学品 精密化学品、農業化学品 先端化学品 精密化学品、農業化学品
樹脂加工品、電子材料、情報材料
石油化学 石化原料、ポリエチレン、ポリプロピレン 基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、
合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 合繊原料、ペット樹脂、フェノール、工業薬品
その他 プラントの建設及びメンテナンス、倉庫運送業等 その他 その他関連事業等

機能材料はウレタン原料のTDIの市況が東・東南アジアで改善したこと、原料価格高騰を受けたPPGの製品価格値上げが貢献した。
ウレタンは欧州大手の工場トラブル等で市況が過去最高となった。
このため変動費差
-50億円に対し売価差は160億円と、差引 110億円の利益増となった。

基礎化学品では中国市況の低迷でPTAの採算が悪化したほか、PE、PPもナフサ高の影響を受けている。
なお、日経報道では、三井化学も
PTAで1割の減産を行なっている。

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旭化成

ケミカルズが好調で増収増益となった。
配当は前年の年間12円を13円にアップする。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間  768,878  22,984  50,690  15,720  48,765  16,178  28,958  16,755   5.0  
07/9中間  830,757  24,064  63,689  15,851  63,145  16,469  38,019  18,131    6.0  
                     
06/3 1,498,620 42,649 108,726  27,410  104,166  27,013  59,668  29,010  5.0 5.0
07/3 1,623,791 42,758 127,801 28,216 126,507  29,069 68,575 28,867 5.0 7.0
08/3 1,729,000 46,000 135,000 29,000 134,000 30,000 79,000 32,500 6.0 7.0

 

営業損益対比(億円)
  06/9中 07/9中 増減   07/3 08/3
予想
ケミカルズ   228   362  134      566   690
ホームズ    54    48   -6      275   240
ファーマ    72    77   5     139   135
せんい    13    35   22      42    65
エレクトロニクス   124   115   -9     226   230
建材    25    21   -4      50    45
サービスほか    23    27   4      39    45
全社   -32   - 49  -17     -58   -100
営業損益合計   507   637  130    1,278  1,350

 

ケミカルズは汎用事業、特にANM、SM などモノマー事業が旺盛な海外需要を背景に前期比大幅増益となり、イオン交換膜法食塩電解プラント及びイオン交換膜など高付加価値系事業も数量を伸ばし、前期比増収、増益となった。

コスト差等が前期比180億円(損)あるが、このうち198億円が原燃料で、ナフサが113億円、ベンゼンで58億円、その他で27億円となっている。
これに対して売価差は300億円の益で、その他差を含め、前期比 134億円の増益となった。
ANMは原料価格に連動せず需給バランスで2,000ドル/t 近い価格となっている。

なお、ニチアスの耐火性能偽装により、「ヘーベルハウス」、「へーベルメゾン」の約40,000棟の軒裏天井の改修工事を行なうが、ホームズの年間予想にはこれは織り込まれていない。

ーーー

東ソー

連結売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも上期過去最高となった。機能商品が好調。
配当は年間8円を据え置く。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間  374,700  255,254  22,531  11,692  23,131  14,881  11,480   8,334  3.0  
07/9中間  400,035  279,720  30,689  18,513  29,463  20,643  14,939  13,027  4.0  
                     
06/3  648,810  444,024  47,459  26,203  49,731  31,191  27,532  16,288  3.0  3.0
07/3  781,347  520,068  60,279  33,584  57,998  38,466  28,488  22,353  3.0  5.0
08/3  840,000  585,000  63,000  37,000  59,000  41,000  29,000  24,000  4.0  4.0

営業損益対比(億円)
  06/9中 07/9中 増減   07/3 08/3
予想
石油化学    49    71   21     140   136
基礎原料     1    12   11      61    46
機能商品   163   207   44     372   420
サービス    12    17    6      30    28
営業損益合計   225   307   82     603   630

   

石油化学 オレフィン製品、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び樹脂加工製品、機能性ポリマー等
基礎原料 苛性ソーダ、塩ビモノマー、塩ビ樹脂、無機・有機化学品、セメント等
機能商品 無機・有機ファイン製品、計測・診断商品、水処理装置、
電子材料(石英ガラス、スパッタリングターゲット)、機能材料、ウレタン原料等
サービス 運送・倉庫、建設・修繕、検査・分析、情報処理等
 *2006/9 日本ポリウレタン工業の連結子会社化により、ウレタン原料が機能商品事業の製品に加わった。

機能商品はウレタンの値上がりによる採算改善や免疫診断用試薬の伸びで営業増益となった。

苛性ソーダ、VCM、PVC、セメント等の基礎原料も前年上期比は増益だが、低迷が続いている。

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* バックナンバー、総合目次は 
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  
項目別の索引も作成しました。

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