2000年以来 7年ぶり、創立以来3回目となるOPEC首脳会議が11月17、18日の両日、サウジアラビアのリヤドで開かれた。
事前の発言の通り、ベネズエラChávez 大統領は米国がイランを侵略すると原油価格は1バレル200ドルに倍増すると警告、またOPECメンバーに対し、貧困との戦いで先陣を切るべきだとして社会正義のための運動に参加するようアピールした。
2007/11/16 ベネズエラChávez 大統領の原油価格論
これに対してサウジアラビアのKing Abdullah が、OPECは常に穏やかに、賢明に行動すべきだと反論した。また、原油は発展のためのエネルギーであり、紛争や感情のための道具となるべきでないとした。
更に、OPECは開発途上国や貧困撲滅に対する責任を見過ごしてはいないとし、OPECの国際開発基金が120カ国以上の途上国に寄付をしてきたことを例に挙げた。(宣言の3項目の1つに取りあげた。)
首脳会議は18日に、「リヤド宣言」を採択した。
宣言は①グローバルなエネルギー市場の安定、②持続可能な発展のためのエネルギー(途上国支援)、③エネルギーと環境(環境問題)、の3項目を取り上げ、OPECとして初めて環境問題を前面に押し出した。
サウジは3億ドルを地球温暖化を対象とした研究に投じることを明らかにした。カタール、アラブ首長国連邦、クウェートもそれぞれ1億5千万ドル程度の拠出を表明した。
Chávez 大統領は原油価格の基準として米ドルを外すべきだと主張し、イランがこれに賛成し、紛糾した。
単に米国に対する嫌がらせでなく、米ドルが他の通貨に対して下落していることが原油価格上昇の理由の一つとなっている。
(サミット終了後の会見でもイランの Ahmadinejad 大統領は米ドル問題を取りあげ、 "worthless piece of paper" と呼んだ。)
サウジやアルジェリア等のメンバーは、この動きが米国の不況の引き金となるのを恐れて反対した。
これによりドルの価値が下がると、大量のドルを抱えている産油国も被害を被ることとなる。
宣言の②では、「サミットで提起された提案を含め、OPECメンバー間のファイナンス面での協力を強化するための手段を研究するよう、石油エネルギー相や財務相に指示する」との項目が最後に記載されており、12月5日のOPEC総会までに財務相会合を開催する方向。
ユーロなどを含む「通貨バスケット」の採用などを検討する可能性もある。
③については宣言では、
エネルギー生産・消費、環境保護、経済成長・社会発展の相互関係を認識し、以下の点を実施するとしている。
・環境問題への対応
・石油資源のベースを増やし、よりクリーンな燃料を供給するための研究開発
・森林保護
・温暖化問題の重要性の確認
・温暖化対策がバランスが取れていること(化石燃料の生産・輸出に依存する国を含めた途上国の問題)
・温暖化問題での包括的アプローチの必要性の強調
・クリーンで効率的な石油技術の重要性、カーボンの捕捉や貯蔵などの温暖化対策技術の開発の重要性の強調
予想通り原油増産には言及せず、12月上旬の総会に持ち越した。
「リヤド宣言」全文 http://www.opec.org/aboutus/Third%20OPEC%20Summit%20Declaration.pdf
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* バックナンバー、総合目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
項目別の索引も作成しました。
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