BHP Billiton によるRio Tinto 買収提案のその後

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2007年11月、BHP Billiton Rio Tinto に対して買収の提案を行った。
Rio
Tinto の株式1株に対してBHP株3株を与えるという案で、1,400億ドル以上に相当する。

これに対し、Rio Tinto は買収価額が著しく安すぎるとし、拒否した。

   2007/11/15 BHP Billiton Rio Tinto に買収提案 

BHP Billiton はその後も新しい提案の検討を進め、中国を含む他の同業者の動きも含め、いろいろな噂が飛び交っていた。

 

英国公開買付パネル(The Panel on Takeovers and Mergers)はRio Tinto の要請に基づき本件を検討していたが、12月21日に決定を下した。
BHP Billiton 2008年2月6日までに、Rio Tinto に対してオファーをするか、しないかを伝えろというもの。もしBHP Billiton がオファーをしない場合は、その後6ヶ月間はオファーは出来ない。

公開買付パネルについては 2007/7/23 Akzo-ICI 問題のその後 

BHP Billiton はこれを受け、現在いろいろなオプションを検討中で、結論はまだ出ていないとしている。

これに対してRio Tinto は買収提案を拒否し、相次いで拡大策を打ち出している。

12月に入り、豪州Queensland Kestrel 炭鉱の拡張計画(793百万米ドル)と米国のEagle ニッケル計画(300 百万米ドル)を承認した。ニッケルには新しく進出する。更にインドネシアでのニッケル計画を交渉している。
また、来年、
15百万トンの鉄鉱石を高騰しているスポット価格で販売する。
今後
10年で鉄鉱石能力を拡大し、長期契約以外でスポット価格での販売を目指すとしている。

もし両社が合併すれば、鉄鉱石、銅、ボーキサイトなどで世界最大となる。

鉱山別能力(赤色部分が合併した場合の合併会社の持分)

   資料 BHP Billiton 2007/11/12 発表 "Unlocking Value"  
http://www.bhpbilliton.com/bbContentRepository/20071124543637/071112presentationbhpbillitonriotintounlockingvalue.pdf

この買収が実現すると、日本で大きな影響を受けるのは鉄鋼業界である。両社は日本の鉄鉱石輸入量の約60%、原料炭輸入量の約35%を占めている。

このため、公正取引委員会は、鉄鉱石の世界市場が買収によって寡占状態となり、競争が制限される可能性があるとして、欧州連合やオーストラリアなどの当局と協調審査に向けた協議に入った。
また、両社から鉄鉱石を輸入している台湾や韓国などの機関とも情報交換し、両社の買収計画の審査を行う方針と言われている。

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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