Gazprom、その100%子会社の Sibur、及びDow Chemical は11月27日、ハイドロカーボンの高付加価値化分野でのMemorandum of Intentionsを締結した。
今後、以下の検討を行なう。
1)ドイツのダウの新石化コンプレックスでのJV設立
2)北西シベリアのYamal-Nenets 自治区での天然ガスの処理
3)その他の分野での協調の検討
今後、ワーキンググループでJVのFSを行う。来年にもまとめる。
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SIBUR Group はGAZPROMが100%出資するロシア最大の垂直統合石油化学会社。
詳細 2007/7/6 Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV
SIBUR は石油化学分野での技術を求めており、また、プラスチック事業拡大のために新しいマーケットへの進出を望んでいる。
第一の計画は、ダウが拠点を有するドイツに合弁で石油化学工場を建設するもので、 Gazprom が原料の天然ガスを供給し、ダウが技術とマーケットでの経験・知見を供給するもの。
ドイツは欧州で最大のロシアの天然ガス輸入国となっている。
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第二の計画はYamal-Nenets 自治区のValanginian 天然ガス田の天然ガスを共同で処理するもの。
Yamal-Nenets 自治区はシベリアの北西端に位置し、北部は北極圏に属する。ベールイ島、オレニー島、ショカリスキー島などを有する。
2002年10月にSIBUR は自治区政府との間で、液体ハイドロカーボンの処理計画、天然ガス液化設備建設、輸送システムの拡張、省エネ計画その他を共同で実施する契約に締結している。
SIBUR は計画の詳細を明らかにしていないが、新プラントを共同で建設する模様。
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GAZPROM もダウも計画がまだ初期の段階であり、これからFSを実施すると強調しているが、Gazprom が欧州のエネルギー需要の1/4を供給し、ロシアが天然ガスを外交の手段としようとしていることに懸念しているEUを更にいらだたせることになるとの見方が強い。
EUは本年9月に、Gazprom の進出を抑えるため、欧州市場でのエネルギーの生産と流通を分離する案を出している。
Gazprom が欧州で設備を持つことを妨げようというものだが、イタリアのEni やEnel (政府31%所有)、フランスのGaz de France (政府 40%所有)、ドイツのE.ON group なども猛反対している。Gazprom も、この案が施行されれば、新しい取引は中止され、その結果、欧州への供給が減り、価格の上昇が起こるだろうと警告している。
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