欧州委員会は11月28日、日本板硝子、旭硝子、米・Guardian、仏・Saint-Gobain の4社に対し、EEA(欧州経済領域)内での建築用板ガラスのカルテル行為に対して、総額486.9百万ユーロ(約790億円)の制裁金を科したと発表した。
* EEA協定にはEU 25ヵ国とEFTA(欧州自由貿易連合)のうちアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが加入。
本年3月にメーカーにStatement of Objection(異議告知書)を送付した。
2007/3/20 欧州委員会板ガラスカルテルを調査
4社はEEAの建築用板ガラス市場の80%を占めている。5~6回の値上げ、最低価格決定、その他の値上げ・価格維持のための行為を行い、値上げ協定の実施の監視をしていた。
欧州委員会では、このような需要家を騙し、単一市場のメリットを奪うような行為は容認できないとし、今回は複数のメンバー国の独禁当局の情報から調査を始めたとして、欧州の独禁当局のネットワークの協力関係を自賛している。
なお、欧州委は2005年2月に板ガラスと合わせて自動車用ガラスのメーカーにも予告なしの立ち入り検査を行っており、自動車用ガラスについては需要家配分と供給制限・価格の合意があったと信じる理由があるとしている。現在、調査を進めている。
各社の制裁金は以下の通り。
千ユーロ | |
Asahi (Japan) | 65 000 |
Guardian (USA) | 148 000 |
Pilkington (UK) | 140 000 |
Saint-Gobain (France) | 133 900 |
TOTAL | 486 900 |
旭硝子は子会社のGlaverbel (現社名はAGC Flat Glass Europe)、日本板硝子は子会社のPilkington。
Glaverbel SA:
本社:ベルギー ブラッセル市
工場:ベルギー、オランダ、チェコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア
品目:フロート板ガラス、複層ガラス、自動車用ガラス、鏡等
設立:1961年(1981年旭硝子資本参加、2002年12月100%子会社)
Pilkington PLC:
本社:英国 St Helens
工場:世界24カ国
品目:建材用板ガラス、自動車用強化ガラス、放射線遮へい用板ガラスほか
(世界で最初にガラスの大量生産を始めた会社)
設立:1826年(2006年6月 日本板硝子子会社化)
なお、旭硝子は自首減免制度(2002 Leniency Notice ) に基づき、EUの調査に協力し、追加証拠を提出して、制裁金の減免を受けている。
日本板硝子は2007年3月期連結決算で、「EU独禁法関連引当金」として 78,118百万円の引当金を計上している。
今回の同社の制裁金は約226億円だが、更に自動車用での制裁金の可能性がある。
旭硝子は引当金を計上していない。
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EUによる2007年のカルテル制裁 | ||||||||||||||||||||||||
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2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金
2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金
ファスナー 4つのカルテル
① ② ③ ④ Prym group(ドイツ) ○ ○ ○ ○ 40,538千ユーロ YKK group ○ ○ ○ 150,250 Coats group(英) ○ ○ 122,405 他 4社 ○ 15,451 合計 328,644
ビデオテープ
Sony 47,190千ユーロ Fujifilm 13,200 協力で40%減 Hitachi Maxell 14,400 協力で20%減 合計 74,790
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* バックナンバー、総合目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
項目別の索引も作成しました。
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