欧州第一審裁判所がカルテルの制裁金を増額

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欧州第一審裁判所はこのたび、家畜用のビタミンB4 カルテルで、BASFに対する制裁金を引き上げる判決を下した。裁判所が欧州委員会の科した制裁金を引き上げたのは今回が最初。

本年5月に第一審裁判所の元の裁判長が、裁判所はもっと積極的になるべきで、制裁金を変更する権限を行使すべきだと述べており、企業は今後、控訴戦略をよく考えるべきだとの意見が出ている。
従来はほとんどのケースで制裁金が引き下げられており、企業が控訴をして損をすることはないと見られていた。

欧州委員会は200412月に、BASFUCBAkzo Nobel の欧州3社と米国のBioproducts DuCoa、カナダのChinook の6社が、992年から1998年にわたって、家畜用のビタミンB4 (塩化コリン)で国際カルテル(価格、市場割当)を結んだとして欧州3社に制裁金を科した。

北米3社は1994年に欧州側が北米から撤退することを条件に欧州から撤退した。
欧州委員会の調査開始時点では時効となっているため、北米
3社は制裁金を科せられていない。

欧州3社の制裁金は以下の通り。

BASF  34,970千ユーロ
UCB  10,380
Akzo Nobel  20,990

これに対し、欧州3社は第一審裁判所に控訴した。

BASFとUCBの主張は1992年から94年は国際カルテル、それ以降は欧州カルテルで別カルテルであり、前者は時効だとするもの。

第一審裁判所はこれを認め、制裁金の計算をやり直した。

BASFは欧州委員会の決定では国際カルテルへの協力で減額を得ていたが、国際カルテルは対象外のため、これが取り消された。他方、欧州カルテルに関するBASFの情報はほとんど価値がないものであるため、基礎額は減ったが減額がなくなり、結果的に制裁金が増加した。
BASFにとっては、自社の主張のために損をしたこととなる。

UCBについては欧州カルテルの調査協力が認められ、大幅減額となった。

  欧州委員会 第一審裁判所
BASF  34,970千ユーロ  35,020千ユーロ
UCB  10,380    1,870
Akzo Nobel  20,990  20,990

BASF では判決を検討し、欧州司法裁判所(最高裁判所)に控訴するかどうかを考えるとしている。
Akzo は子会社が行なったカルテルで親会社に制裁金を科すのを認めた判決に不満の意を表し、控訴するかどうかを検討するとしている。

欧州司法裁判所では、第一審裁判所が与えた制裁金の減額が多すぎるとして制裁金を増額した例が昨年に2件ある。

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* 総合目次、項目別の索引は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

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