マリーンホース国際カルテル事件のその後

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米司法省は5月2日、原油の海上輸送に使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。
逮捕されたのは日本のブリヂストンの1名と英国のコンサルタント、英社の2名、仏社の2名、伊2社の各1名の合計8名。

公取委も5月7日、ブリヂストンと横浜ゴムに立ち入り検査に入った。

横浜ゴムはカルテルに入っていたが、自主申告したため、逮捕者は出ていない。
報道によれば米司法省は、横浜ゴム担当者になりすまし、そのメールアドレスを使ってコンサルタントらとやりとりを開始し、
その結果開かれた会合で逮捕が行なわれた。 

   2007/7/9 マリーンホース国際カルテル事件 

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米司法省は12月12日、英国のコンサルタント1名(カルテルのまとめ役)とDunlop Oil & Marine2名が、司法取引で、米国で販売されたマリーンホースについての談合、価格維持、市場割当に参加したことを認め、禁固刑に同意したと発表した。

それぞれ、30ヶ月、24ヶ月、20ヶ月の禁固刑で、外国人の独占禁止法での禁固刑では最長のもの。加えて、2人に各100千ドル、1人に75千ドルの罰金も科せられた。3人は有罪を認めた後、英国に護送され、英国の2002Enterprise Act (カルテル罪新設)での有罪を認めることとなっている。

11月にはフランスのTrelleborg Industrie 2人が司法取引で有罪を認め、各14ヶ月の禁固刑となった。

イタリアのManuli Rubber Industries の役員は9月に起訴され、来年5月に裁判の予定。

他に、イタリアのParker ITR の部長とブリヂストンの部長が逮捕されている。

刑期が長くなったのは、米国以外の企業が米国海軍をだまし、米国の税金を騙し取ったことへの対応とみられる。

本件の被害者には米国海軍が含まれているため、捜査は司法省独禁部門のほか、国防総省の防衛犯罪捜査部、海軍犯罪捜査部、FBIが、各国の捜査部門と協力して行なった。

司法省は英国のEnterprise Act を賞賛し、カルテルに参加した個人を犯罪者として罰する規定は国際カルテルに対する戦いの重要な武器になるとし、他の国もカルテルを犯罪とし、禁固刑を抑止手段としようとしているのは、カルテル防止の機運が高まっていることを示していると述べている。

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日本人ではこれまで米国で独禁法で禁固刑を受けたのは一人だけ。
起訴されても日本に在住している限りは時効中断となる。
(但し米国及び犯罪人引渡し協定のある国に行けば逮捕される。)

今回の場合、もしブリヂストンの部長が裁判で有罪を認めれば、おそらく二人目の禁固刑となると思われる。

  2006/2/16 独禁法改正 

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報道によると、公正取引委員会は12月7日、ブリヂストンと英仏伊のメーカー計5社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令を出す方針を固めた。国際カルテルで日本企業が欧米独禁当局から巨額の制裁金を科されるケースが相次ぐ中、公取委が外国企業を行政処分するのは初めて。

違反を自主申告したとみられる横浜ゴムの処分は見送られ、ブリヂストンのみ課徴金が科される見通し。

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

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