国務院弁公庁はこのほど、各省・自治区・直轄市の人民政府、国務院の各部・委員会、直属の各機関に向けて、「ポリエチレン製レジ袋の生産・販売・使用の制限に関する通知」を出した。
通知によると、レジ袋が「白色汚染」(白いレジ袋のゴミによる汚染)の主要因になっていることを踏まえ、各地の人民政府や部門、委員会などは今後、極薄(0.025mm 以下)ポリエチレン製のレジ袋の生産・販売・使用を禁止するとともに、レジ袋の有料化制度を実施しなくてはならないとしている。
(極薄袋は簡単に破れ、ゴミとなって散らばるので「白色汚染」の主原因とされる。)
今年6月1日以降、スーパーマーケット、デパート、大型市場など商品を小売りするすべての場所でレジ袋を有料化し、無料での提供を一律禁止することになる。
商務部はレジ袋有料化についての詳細な規則を国家発展改革委員会(NDRC)と協議している。
これとは別に、チベット自治区政府は9日、本年から、有料であっでもレジ袋を顧客に渡すのを禁止する規則を発表した。
首都のラサ市では「白色汚染」防止のため、2004年にプラスチック袋の使用を禁止している。
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人民日報は今回のレジ袋有料化について、各界の声を伝えている。
中国加工工業協会:
中国加工工業協会の李国俊・副会長は、生産段階においてレジ袋のメーカーをなくすことは現実的に難しいため、スーパーなどでのレジ袋無料配布を禁止することは、レジ袋の削減にとって有効な手段だと述べた。
李副会長によると、プラスチック加工品メーカーは全国に約6万社あり、そのうち極薄ポリ袋メーカーのほとんどは投資規模が極めて小さい。数千元のポリ袋生産機が1台あればすぐに開業することが可能で、原料はすべて回収されたゴミ袋。そのため工商部門に登録していない零細企業も多く、極薄ポリ袋メーカーの会社規模や業界に占める割合を正確に把握することには困難があり、生産段階で超薄手ポリ袋を根絶することは難しいという。
中国消費者協会:
中国消費者協会の武高漢・副秘書長は、レジ袋有料化を支持しているばかりではなく、ペナルティーの意味もこめた高めの代金を課すべきだとも主張している。わずかなレジ袋代を徴収するだけでは十分な効果が得られないと考えているからだ。徴収されたペナルティとレジ袋コストとの差額は「環境保護事業に運用してはどうか」と提案している。
環境保護局:
北京市環境保護局の程霞・副総工程師は、「レジ袋有料化の実施によって、『白色汚染』は確実に減少するだろう。しかし、本当に100%禁止するためには、法律執行部門が管理の届きにくい一部の小さな自由市場やマーケットに対する法律執行をより厳格に実施する必要がある」と述べた。
程氏は、レジ袋の使用量の削減のほか、過剰包装の制限やゴミ収集などでも相応の措置を講じて初めて、汚染の減少が実現すると指摘した。
環境学教授:
中央民族大学生命環境学院の薛達元教授は、レジ袋有料化政策は消費者のレジ袋乱用を抑制するための極めて効果的な措置だと評価し、「売り場ではリサイクル可能な紙袋を提供することも可能だが、最も理想的なのは買い物客がマイバッグを持参することだ」と指摘した。
薛教授はまた、「国家がレジ袋有料化政策によって真の効果を得ようとするなら、具体的な料金システムを打ち出す必要がある。庶民にとって無視できない程度の価格を設定すれば、レジ袋の使用は確実に減る」とコメントした。
販売店:
フランス系のスーパー「家楽福(カルフール)」の北京市の店舗では15日から、環境保護への貢献を目的としたキャンペーンが開始され、一定額以上の買い物をした市民には不織布製のショッピングバッグがプレゼントされるという。
カルフールではキャンペーン修了後もショッピングバッグの低価格での販売を長期的に行っていく予定だ。
スウェーデン系の家具屋「宜家家具(イケア)」の中国区広報担当を務める許麗徳さんによると、イケアの北京四元橋店では2006年からレジ袋有料制を開始している。レジ袋の値段は5角(0.5元)と1元の2種類、再利用できる環境保護バッグは3.5元だ。
許さんによると、有料制を始めて間もない頃は戸惑いを見せる消費者も多かったが、市民もまもなく支持してくれるようになり、自分で袋を持ってくるのが今では消費者の習慣となったという。「有料制をはじめてからイケアのレジ袋使用量は明らかに減りました」と許さんは胸を張る。イケアの経験からみれば、レジ袋の有料化が売り上げに影響を及ぼすことはないようだ。
市民:
レジ袋の有料化について意見を求められた北京の市民の多くは、この措置に対して支持の立場を示した。
支持理由としては、「資源節約と環境保護の習慣づけに役立つ」ことや、「資源の浪費を削減し、環境への汚染を緩和することにつながる」ことなどが挙げられた。
一方、「買い物に出るときに自分で袋を持っていくことを忘れてしまうこともあるのだから、レジ袋の値段が環境保護の名のもとにあまりに高く設定されるのには納得がいかない」との意見もあった。
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なお、オーストラリアでも環境相が2008年末までにレジ袋税課税か、全面禁止かの決定を行なう意向を示した。昨年末に政権をとった労働党は2004年以来、レジ袋禁止の政策を主張している。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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