三菱化学鹿島事業所 火災事故 その後

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2007年12月21日(金)午前11時32分頃に、茨城県神栖市の三菱化学鹿島事業所第2エチレンプラントにおいて、火災事故が発生し、協力会社従業員4名が亡くなった。

  2007/12/24 三菱化学鹿島事業所 火災事故 

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三菱化学は 12月27日、経済産業省 原子力安全・保安院および茨城県に対し、中間報告資料を提出した。
  http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2007/20071228-2.html#tmp1 

この中で、漏洩原因としては、
「直接原因」として、仕切板の抜き出し作業中に何らかの原因により空気駆動弁(AOVair operated valve )が開いて、クエンチオイルが流出したものと推察されるとし、
「間接原因」として、
AOVの誤作動を回避するため、バルブ施錠等の安全措置を講ずるべきであったが、作業指示書等による明確な手順が示されていなかったとしている。

尚、着火原因については、
①自然発火
②高温部接触
③静電気着火
の可能性が考えられるが、詳細について調査・検討中であるとしている。

 

付記 本報告に対してMETI から追加報告の指示があり、2008年1月9日、追加報告が提出された。
 
http://www.meti.go.jp/press/20080109001/M.pdf

それによると設備設置後の最初の工事(2006年2月)実施前の安全打合会で、「AOV施錠」などの安全措置を決め、工事安全指示書を作成したが、今回、メンテナンス担当による施錠の確認がされていなかったという。
メンテナンス担当と運転担当の間で、安全措置の実施に関する仕組みが明確に定められていなかったことが挙げられている。

付記 三菱化学が1月9日に出した追加報告に、過去の事故の記録が出ている。(報告書 P.19)

事故:1999年1月に第1エチレンで死亡事故(死亡1、負傷 6 )発生

状況: 
熱交換器の配管を修理するため、保温材を剥がしていたところ、配管が破裂、水蒸気が噴出し、作業員が被災した。

原因: 
工事に係わる安全措置確認の不足により、本来閉止すべき弁の閉止操作が行なわれず、低圧系配管に超高圧蒸気の圧力が加わったため、エロージョンで減肉していた部位が破裂した。

対策:
・運転指示、作業指示に係わる管理の徹底
・作業発生時の「作業安全確認書」使用の徹底(義務付け)
「バルブ等施錠管理」の制定

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年明けの1月7日、茨城県警は三菱化学鹿島事業所と、同事業所内にあってプラントの維持・管理などを請け負っている三菱化学エンジニアリング鹿島支社を家宅捜索した。

三菱化学は中間報告のなかで、バルブの誤作動を回避するための安全対策を作業指示書などに記載していなかったことを明らかにしているが、捜査本部では、メンテナンス作業中の安全対策を怠っていた可能性があるとして、業務上過失致死容疑での立件も視野に捜査を進める。

また、茨城県が設置した事故調査委員会(委員長:長谷川和俊・千葉科学大教授、危機管理)の第1回会合が8日午前、同事業所で開かれた。
調査委は危険物や高圧ガスの保安、高温火災を含む特殊災害、危機管理システムなどについての専門家6人で構成され、三菱化学からの聞き取りや現地調査を実施し、事故原因や再発防止策について検討する。
施設の老朽化が進む鹿島コンビナート全体の課題についても議論するという。

会合では、作業手順について三菱化学と下請け会社の間で安全意識が共有されていたか検討する必要があるとの意見が出たという。
調査委は月に1回程度、会合を開いて3月末までに報告書をまとめたいとしている。

 

第2エチレンプラントの操業再開には、まだ時間がかかりそうだ。

三菱化学は化学各社に原料や製品の融通を要請しているが、各社工場とも高水準の稼働が続いており国内からの供給には限界があり、商社を通じて海外調達の可能性も探っている。

この結果、アジア市場で石化製品の取引価格が年明けから急騰している。
エチレン価格は昨年12月下旬に比べ 8%アップ、ブタジェンは同じく 15%アップし過去最高値を更新した。

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三菱ケミカルホールディングスは1月7日、小林喜光社長の社員向けの新年挨拶の要旨を発表した。
  
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1199668375.pdf

この中で、小林社長は、三菱化学の鹿島事業所火災事故について、「事故に対する猛省と、決意新たに徹底した安全意識を」と呼びかけた。
また製品供給について、「製品の融通など他社のご協力も得ながら、お客様第一との考えであらゆる方策を考え、最大限お客様の要請にお応えするよう努力していただきたい」と述べた。

また昨年10月に新しく発足した田辺三菱製薬の薬害C型肝炎問題、本年4月1日にグループの機能材料分野の事業を包含して新発足する三菱樹脂については塩ビ管価格カルテル容疑での公取委の調査が継続していることについて触れ、「グループの社会的信頼回復に向け、誠実かつ真摯に対応」するよう、求めた。

そのうえで、三菱ケミカルホールディングスグループは極めて大きな課題を抱えており、まさに「グループ゚存亡の危機」にあり、“崖っぷちに立っている”という危機感を共有して危機を乗り切ろうと、呼びかけている。

 

同社では社長、取締役、役付執行役員、関係執行役員の役員報酬の一部を12月分から当分の間(時期は未定)返上することとした。
また、既に発表していた1月1日付人事異動のうち、一部については、事故対応に注力するため、当面の間延期した。

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薬害肝炎問題では、1月8日に肝炎救済法案が衆院を通過し、週内に成立する見通しだが、原告・弁護団は、国側と基本合意を結んで裁判上の和解を進める一方、製薬企業(田辺三菱製薬と子会社のベネシス、日本製薬)に対しては加害責任を認めた謝罪などがない限り、形式的に訴訟を続ける方針を明らかにしている。

新生三菱ケミカルホールディングスは苦しいスタートとなった。

 

付記  2008年2月1日 三菱化学鹿島事業所 火災事故 その後(2)

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 総合目次、項目別目次は
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

 

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