ガソリン税問題と石油化学業界への影響

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ガソリン税に関する租税特別措置法の期限切れの可能性が高まり、与野党の攻防が激しくなってきた。

通称ガソリン税とは揮発油税と地方道路税法に基づき揮発油(ガソリン)に対して課せられる税金で、1954年に道路特定財源となった。

税率は、揮発油税法(第9条)でリットル 24.3円、地方道路税法(第4条)で同 4.4円と決められているが、1974年に第7次道路整備5箇年計画の財源確保のため「暫定的」に租税特別措置法で引き上げられ、その後、順次引き上げられている。

現行の租税特別措置法では以下の通りとなっている。

  基本税率 追加分 暫定税率
揮発油税  24.3円  24.3円  48.6円
地方道路税   4.4円   0.8円   5.2円
合計  28.7円  25.1円  53.8円

今回租税特別法の延長ができなければ、基本税率に戻り、リットル 25.1円だけガソリン代が安くなることとなる。

これは国民にとっては、道路を取るか、ガソリン代の値下がりを取るかの選択になる。

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問題は今回の期限切れの租税特別措置法がこれだけに止まるのではなく、合計で43件あることである。
研究開発税制や中小企業の投資促進税制など法人税減税が19件、他に土地の所有権移転登記や、産業再生法に基づくリストラ計画に伴う登録免許税の軽減措置も含まれる。

従来、租税特別措置法は一つ一つの措置を個別審議するのではなく、すべての措置を1本の租特法改正案としてまとめて審議されることになっていた。
ガソリン税で野党が反対すれば、改正案が成立せず、対象となる租税特別措置のすべてが期限切れとなる。

このため、野党側はガソリン税だけを分離して審議するよう要求しているが、与党側は要求には応じない構えである。

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石油化学業界にとって最大の問題は石油化学用ナフサの石炭石油税免税措置の延長が今回の租税特別措置法改正案に含まれていることで、改正案が通らない場合、免税措置が切れることとなる。

石油石炭税法(昭和53年4月18日法律第25号)では、原油及び石油製品、ガス状炭化水素(LPG及びLNG)、石炭に対して石油石炭税が課せられている。

現在の税額は次の通り。

  原油及び輸入石油製品  1キロリットルにつき 2,040円
  LNG  1トンにつき 1,080円 (平成17,18年度は960円)
  LPG   1トンにつき 1,080円 (平成17,18年度は940円)
  石炭  1トンにつき  700円 (平成17,18年度は460円)

租税特別措置法では、
 石油化学製品製造用の輸入ナフサ、灯油、軽油に関して、石炭石油税が免税となり(租特法第90条の4)
 石油化学製品製造用の国産ナフサ、灯油、軽油に関して、石炭石油税が還付されることとなっている。(同第90条の5)
 (灯油、軽油は2004年4月から対象に追加となった)

この租税特別措置はこれまで、2年ずつ延長されており、本年3月31日で期限となる。

なお、2006年にナフサは
  生産  21,758kl 
  輸入  28,360kl  
となっており、2,040円/kl が課税されると、年間約1,000億円のコストアップとなる。

2006年のエチレンセンター11社の経常損益は2,725億円であった。


* 総合目次、項目別目次は
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

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