アラブ首長国連邦の Abu Dhabi 政府は、拡大しつつある同国の石油化学、鉄鋼、アルミニウムの川下分野の開発のため、 'Polymer Park' と 'Metal Park' を創設することを決めた。
2つの経済地区 'Polymer Park' と 'Metal Park' は、投資促進のために2004年に設立された独立政府機関のZonesCorp との協力の下に、Mussafah industrial estate に設置される。
ここに誘致される企業に対しては、税制その他の恩典を与えることも検討している。
先ず、石化の川下のプラスチック加工事業を広げるため、資金供与を行なう。
サウジアラビア政府が1970年代央にファンドを使って石化の川下産業を興したことを参考にした。
2006年に基盤産業の促進のために政府が設立したAbu Dhabi Basic Industries Corporation (ADBIC) が、Investment Fund for Plastic sector として今年先ず 150百万ドルを供与し、中小企業などが国産のプラスチックを最終製品に加工する工場を設立するのに利用する。
プラスチック加工については台湾のプラスチック産業(輸出用が中心)をモデルにするとしている。
ADBICでは、同国の大企業や中小企業でのこれに対する反響は大きく、18ヶ月以内に最初の工場の杭打ち式が行なわれるだろうとしている。それぞれの投資は20~25百万ドル程度と見ており、5年後には累計で10億ドル程度の投資を予想している。
これとは別に、ADBIC 自身が38.2億ドルを投じてパイプ、ケーブル、自動車部品などを製造するプラスチック加工工場の建設を検討している。合弁事業として来年にも建設を始めるとしているが、相手先は明らかにしていない。
Abu Dhabi の石油化学は、Abu Dhabi National Oil CompanyとBorealis のJVのAbu Dhabi Polymers(Borouge)がAr Ruwais にコンプレックスを持っている。
(デンマークのBorealis は今はAbu Dhabi のIPCIが65%、オーストリアのOMVが35%出資するJVとなっている。)
稼動中の第1期はエチレン 60万トン、PE 60万トンで、現在、第2期(エチレン150万トン、PP 80万トン、PE 54万トン)を建設中。
2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)
2006/12/4 アブダビ・ポリマーズ、第2エチレン建設着工
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同国はまた、アルミや鉄鋼などの事業を拡大しているため、石化に続いてこの分野での主に輸出用の加工業へのInvestment Fund も検討している。(こちらはまだ概念段階で、暫く時間がかかる)
Metal Park についてADBIC は、アルミ精錬工場と製鋼工場の増設が動き出した時点で、製品がここの各社で消費されることを期待している。
同国のこれら産業の動向は以下の通り。
アルミ:
Abu Dhabi 政府の投資会社 Mubadala Development は Dubai Aluminium と組んで、60億ドルを投資して世界最大のアルミ精錬工場を建設する。首都 Abu Dhabi 近郊に建設するもので、能力は120万トン、2,600-megawatt の発電所とともに建設する。
(現在の最大プラントはRussian Aluminium のシベリアのBratsk 工場で、2004年に965千トンの生産を行なっている。)
一方、Dubai Aluminium のJebel Al 工場は2006年に861千トンを生産し、世界7位となったが、2010年までに100万トン以上に拡大する計画である。
鉄鋼業では、ADBIC がEmirates Iron & Steel Factory を買収して、これを Emirates Steel Industries と改称した。
2001年設立で、唯一の異形鉄筋鋼棒のメーカー。圧延工場の設計能力は60万トン。
ADBIC では5ヵ年計画で、能力を順次 500万トンにまで増やす計画を立てており、現在は10億ドルを投じて140万トンに増やす計画を実行中である。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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