出光興産、住友化学、三井化学の3社は2月7日、「コンビナート副生分解C4留分の活用による高効率プロピレン生産システム」の主要研究設備の建設に着工した。
3社の千葉地区の工場(出光興産の流動接触分解装置、3社のエチレン分解炉)は近接立地し、パイプライン網で結びついている。
このため、各工場から発生する副生C4留分とエチレンを原料として、クリーン燃料とプロピレンを高効率で生産するシステムを開発しようと、2006年4月より「石油コンビナート高度機能融合技術開発事業(RINGⅢ事業)」の一環として共同で取り組んできた。
RINGⅢは 2006/5/24 RING 第三次事業計画 発表
主要研究設備の設計が終了し、関係官庁の認可をしたため、建設に着手した。
高効率プロピレン生産システムの概要は以下の通り。 |
各工場で副生するC4留分を集積 ・イソブテンを反応により選択的に重合させ、クリーン燃料に転換 ・ノルマルブテンを濃縮製造、これをエチレンと触媒反応させ、プロピレンに転換 (図は 2006年6月15日三社発表文から) |
研究設備の概要は以下の通り。 | |
* プロピレン生産能力 : | 年産15万トン目標 |
* 研究開発費 : | 約100億円 |
* 負担比率 : | 出光興産 50%、住友化学 25%、三井化学 25% |
* 研究設備の立地 : | 三井化学 市原工場内 |
* 研究設備の着工 : | 2008年2月 |
* 実証試験の開始予定 : | 2009年度第3四半期 |
このシステムが完成すれば、3社の千葉地区でのプロピレンのエチレンに対する生産比率は一般的なエチレン分解炉の0.6に対し、アジアのコンビナートでもトップクラスの0.9以上となり、より付加価値の高いプロピレン系製品への転換が促進される。
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3社のうち、住友化学と三井化学は2000年11月17日、2社の全面的統合で基本合意し、先行してポリオレフィン事業を統合し、2002年4月1日に三井住友ポリオレフィンの営業を開始した。
しかし、統合比率に関して両社の見解の隔たりが埋まらず、結局2003年3月31日に統合の解消を発表、三井住友ポリオレフィンも同年10月1日に事業を解消した。
その後、三井化学と出光興産(及び出光石油化学)は2004年2月に「千葉地区における提携に向けた包括的検討」を開始し、両社のポリオレフィン事業全体を統合することに合意、2005年4月1日に合弁会社プライムポリマーの営業を開始した。
プライムポリマー 出資比率 三井化学 65%、出光興産 35%
なお、住友化学と三井化学は、丸善石油化学の京葉エチレンに共同で参加しているほか、三井化学市原工場のメタロセン触媒による気相法LLDPE事業に住友化学が参加し、これをJVの日本エボリューとしている。
このほか、両社はPSのJV(日本ポリスチレン)、ABSのJV(日本エイアンドエル)をつくっている。
京葉エチレン 生産能力 (当初)年産60万トン (現在)768千トン
出資比率 丸善石化 55.0%、住友化学 22.5%、三井化学 22.5%
引取比率 丸善石化 50%、住友化学 25%、三井化学 25%日本エボリュー 生産能力 (当初)年産20万トン (現在)24万トン
出資比率 三井化学 75%、住友化学 25%
引取比率 プライムポリマー 15万トン+増設 4万トン、住友化学 5万トン日本ポリスチレン
出資比率 住友化学 50%、三井化学 50%
住友化学千葉工場内にPSプラント日本エイアンドエル
出資比率 住友化学 67%、三井化学 33%
住友化学千葉工場内にSBRラテックスプラント
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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