米国第二巡回控訴裁判所は2月22日、ベトナム戦争中の枯葉剤 Agent Orange が出生異常や癌を含む病気を起したとして、ベトナム人被害者300万人以上を代表して「Vietnam Agent Orange/Dioxin 被害者協会」が Dow Chemical、Monsanto のほか35社の農薬メーカーを相手取って行なった民事訴訟の控訴審で、下級審の却下を支持した。
ニューヨークの連邦地裁は2005年3月に、Agent Orange が戦争での毒物使用禁止に違反していることを原告が示せず、また原告の病気が化学品に結びついていることが立証できないとして却下した。
控訴審の事前ヒアリングは2007年6月18日に行なわれ、その後審議が行なわれていた。
2007/6/23 ベトナムの枯葉剤被害者による訴訟
控訴審で裁判長は、「除草剤散布は議論を呼ぶが、Agent Orange は枯葉剤として使用されたのであり、人間をターゲットとした毒物として使われたのではなく、国際法に違反するものではない」と述べた。
控訴審は同時に、1984年の和解で退役軍人が補償を受けた後に健康被害が分かったとして訴えた退役軍人とその家族の訴えも却下した。化学会社は米軍の請負業者であり、法的責任を免れているとした。
ベトナムの原告側弁護士は控訴するとしている。
Dow Chemical は「当社はこれまで、戦時中の活動に関する問題は米国とベトナムの政府間で話をすべきだとの見解を支持してきた」と述べ、決定を歓迎した。Monsanto も同じ意見を述べた。
ベトナム政府スポークスマンは23日、この決定は不公正で間違っていると述べた。ベトナム国民は判決に非常に不満であるとし、米国政府がAgent Orange による被害に対処するためベトナムと協力しているときに、このような判決を下すのは残念だとした。
米議会は2007年に、大量のダイオキシンで汚染されたダナンの旧米空軍基地の土壌封じ込めを含め、調査とクリーンアップのために300万ドルの支出を認めた。
なお、1984年の和解で、Dow Chemical、Monsanto など7社は健康被害を受けた米軍人に対して180百万ドルの補償を行っている。
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