ガス用フレキシブル管及び継手、PP製シュリンクフィルムで排除措置命令及び課徴金納付命令

| コメント(0)

1) 公正取引委員会は3月26日、ガス用フレキシブル管及び継手の製造販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出したと発表した。

ガス用フレキシブル管の4社と同継手の3社が、2004年と2006年に販売価格引き上げを合意して、競争を実質的に制限したもの。

両命令の相手及び課徴金の金額は以下の通り。

事業者 排除措置 課徴金(万円) 課徴金合計
   (万円)
継手 継手
JFE継手㈱  ○  ○  20,500  1,959   22,459
㈱協成  ○  X   4,278   X    4,278
㈱テクノフレックス・トーラ  ○  X   4,236   X    4,236
新和産業㈱  X  ○    X  3,213    3,213
日立金属㈱  ー  ー    ー   ー     ー
合計  3社  2社  29,014  5,172   34,186

別表中の「X」は当該商品を製造販売しておらず,当該違反行為者ではない。
別表中の「-」は排除措置命令又は課徴金納付命令の名あて人とならない違反行為者である。

上記の表で、日立金属は「排除措置命令又は課徴金納付命令の名あて人とならない違反行為者」と記載されている。
これは公取委の立ち入り調査前に自主申告したことにより、排除命令免除、課徴金減免を受けたもの。

日立金属は3月26日、以下の発表を行なった。

1.排除措置命令に関して
 当社は、ガス用ステンレス製フレキシブル管及び同継手の製造販売業者らが共同してガス事業者向け販売価格を決定し、当該行為が独占禁止法第3条の規定に違反した時期がありました。このため公正取引委員会より立入り検査を受けましたが、
平成18年11月に違反行為から離脱していたことにより、排除措置命令は受けませんでした。

2.課徴金減免に関して
 当社は、社内調査の過程で独占禁止法の違反行為があったことが明らかになりましたので、その調査結果をもって公正取引委員会に
課徴金減免制度の適用を申請した結果、全額免除が認められました。

ーーー

公取委の排除命令にも次ぎの記載がある。

 平成18年11月14日,当委員会が平成19年(措)第13号及び同第14号により措置を命じた者の営業所等に独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ、同年11月16日、日立金属がJFE継手に前記2の合意から離脱する旨を伝えたことから、同日以降、前記2の合意は事実上消滅しているものと認められる。

* 減免制度適用のためには、「当該違反行為に係る事件についての調査開始日以後において、当該違反行為をしていた者でないこと」という要件があり、取締役会等で違反行為を行わない旨の意思決定を行った上で、公正取引委員会に申請を行うことが必要。
取締役会での意思決定の後で、他のメンバーに離脱を伝えたとみられる。
課徴金が全額免除されているため、立入検査前に意思決定をし、自主申告したとみられる。

 

日立金属は2007年6月にガス用ポリエチレン管・継手で、排除命令と課徴金納付命令を受けている。
この後、ガス用ステンレス製フレキシブル管及び同継手について自主申告したと思われる。

                                              単位:千円
  排除命令          課徴金納付命令 課徴金額合計
PE管 継 手   PE管   継手
三井化学  ○  ○  375,750 6%/15%  411,940 6%/15%   787,690
日立金属  ○  ○  59,080 6%/10%  607,950 6%/10%   667,030
三菱樹脂  ○  ○  64,930 6%/10%   62,420 (6%/10%)x0.7   127,350
積水化学工業  ○  ○  51,140 (6%/10%)x0.7   73,500 (6%/10%)x0.7   124,640
クボタシーアイ  ○  ○  53,790 6%/10%   16,700 6%/10%    70,490
日本鋳鉄管  ○  X  29,480 (6%/10%)x0.7    X      29,480
協成  ○  X  17,860 6%/10%    X      17,860
クボタ  -  -   3,520 6%/ー   1,240 6%/ー     4,760
富士化工    -   - (6%/10%) x 0    - (6%/10%) x 0     -
合計 7社 5社  655,550   1,173,750    1,829,300
 X は当該商品を販売しておらず,当該違反行為者ではない。
 金額の右は算定率で 06/1/4以前売上対応と同日以後売上対応

    2007/7/2 ガス用ポリエチレン管・継手に排除措置及び課徴金納付命令 

ーーー

2) 公正取引委員会は3月28日、ポリプロピレン製シュリンクフィルムの製造販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出したと発表した。

PP製シュリンクフィルムについて興人、大倉工業、東洋ケミカルの3社が販売価格引き上げを合意して、競争を実質的に制限したもの。
興人と大倉工業が話し合いを行い、東洋ケミカルが追随した。

両命令の相手及び課徴金の金額は以下の通り。

事業者名 排除措置
命令
課徴金
納付命令
課徴金額
㈱興人  ○  ○  3億6929万円
大倉工業㈱  ○  -      -
東洋平成ポリマー㈱  -  ○     1641万円
合 計  2社  2社  3億8570万円

東洋平成ポリマー㈱は、平成ポリマー㈱が、平成19年10月1日付けで違反行為者である東洋ケミカル㈱との間で平成ポリマー㈱を存続会社として合併し、同日、商号を変更したもの。

排除措置命令については、東洋ケミカルは合併により消滅しているため、残る2社に対して出された。

課徴金納付命令については、独占禁止法第7条の2第19項の規定により、東洋ケミカルに対するものを合併後の東洋平成ポリマーに対して出された。
大倉工業が課徴金を免除されているのは立入検査前に自主申告したため。(上記の日立金属の場合と異なり、排除措置命令は免除されていない)

排除措置命令書には以下の記載がある。

大倉工業は、平成18年12月24日ころ、前記2の決定に基づく行為を取りやめることとし、平成19年1月10日に、興人に対し、今後、前記2の決定に基づく行為を行わない旨通告したことなどから、同日以降、前記2の決定は事実上消滅しているものと認められる。

ーーー

自主申告による課徴金免除申請が日本でも定着したようだ。

今後は、課徴金を課せられた場合、株主総会で問題とされる可能性がある。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


コメントする

月別 アーカイブ