医薬大手の3月決算がまとまった。
多くの会社で、研究開発費の影響で損益が大きく動いている。
各社の連結営業損益は以下の通り。(単位:億円、中外製薬のみ12月決算)
武田薬品については既報の通り。
2008/5/13 2008年3月期 注目会社決算 武田薬品工業
研究活動の強化、開発活動の進捗に、米国アムジェンが保有する癌、炎症、疼痛などの疾患領域における臨床開発品目に関するライセンス料も加わり、研究費が前年比 836億円の増加となり、久しぶりの減益となった。
なお、次年度は買収するミレニアムや100%子会社化するTAPファーマシューティカルのインプロセス研究開発費が加わるため、研究費は2,092億円も増加する。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
(研究費) |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
07/3 |
13,052 |
4,585 |
(1,922 ) |
5,850 |
3,358 |
128.00 |
08/3 |
13,748 |
4,231 |
(2,758 ) |
5,364 |
3,555 |
168.00 |
前年比 |
696 |
-354 |
( 836 ) |
-486 |
196 |
40.00 |
|
アステラス製薬の営業利益は、売上高の増加、製品構成の変化による原価低減、研究開発費の減により前年比44.8%の大幅増益となった。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
(研究費) |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
07/3 |
9,206 |
1,905 |
(1,679) |
1,978 |
1,313 |
80.00 |
08/3 |
9,726 |
2,759 |
(1,345) |
2,842 |
1,774 |
110.00 |
前年比 |
520 |
854 |
(-335) |
864 |
461 |
30.00 |
|
第一三共は経営統合によるコストシナジーが顕在化し、増益となった。
売上高の減少は、経営統合に伴う非医薬品事業のグループ外自立化、海外子会社の決算期変更といった特殊要因によるもの。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
(研究費) |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
07/3 |
9,295 |
1,363 |
(1,707) |
1,521 |
785 |
60.00 |
08/3 |
8,801 |
1,568 |
(1,635) |
1,691 |
977 |
70.00 |
前年比 |
-494 |
205 |
( -72) |
170 |
192 |
10.00 |
|
中外製薬の営業損益は実質は前年比マイナス。
2007年12月期より特許権等収入を売上高に計上した。
このため、売上高及び営業損益は、前年比で 119億円増加している。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
(研究費) |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
06/12 |
3,261 |
583 |
(546) |
609 |
384 |
30.00 |
07/12 |
3,448 |
667 |
(542) |
677 |
401 |
30.00 |
前年比 |
187 |
84 |
(- 4) |
68 |
16 |
- |
|
田辺三菱製薬は2007年10月に発足した。
前年と上期は三菱ウェルファーマ分で、下期は旧田辺製薬分が加わった田辺三菱製薬のもの。
前年比では141億円の増となるが、比較のため、田辺製薬の前年分、上期分を加えると前年と余り変わらない。
(2009/3月期はこれがベースとなる。)
田辺三菱製薬 営業損益 単位:億円 |
|
07/3 |
08/3 |
増減 |
上期 |
下期 |
田辺製薬 |
305 |
184 |
ー |
|
ウエルファーマ →田辺三菱 |
400 |
540 |
141 |
合計 |
704 |
725 |
21 |
|
大日本住友製薬は研究開発費が64億円増大し、減益となった。
次年度の研究開発費も更に92億円増大する予想。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
研究費 |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
07/3 |
2,612 |
456 |
(409) |
432 |
226 |
14.0 |
08/3 |
2,640 |
398 |
(473) |
377 |
256 |
18.0 |
増減 |
28 |
-58 |
(64) |
-55 |
30 |
4.00 |
|
大正製薬は増収増益だが、これは2007年3月期が、主力のドリンク剤の異常気象などにともなう市場の落ち込みが響き、医療用医薬品も引き続き厳しい事業環境で大幅減益となったため。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
06/3 |
2,714 |
464 |
497 |
359 |
30.0 |
07/3 |
2,421 |
224 |
249 |
154 |
27.0 |
増減 |
-293 |
-240 |
-248 |
-205 |
-3.0 |
08/3 |
2,497 |
370 |
419 |
250 |
27.0 |
増減 |
76 |
146 |
170 |
96 |
ー |
|
エーザイは大幅減益となったが、これは積極的な研究開発活動への資源投入に加え、MGI Pharma, Inc.買収に伴うインプロセス研究開発費 874億円などを計上したため。
インプロセス研究開発費は税務上の費用とならないことから当期損益もそのまま悪化した。
エーザイは2007年12月、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGI PHARMA, INC を総額約39億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。
連結損益 単位:億円(配当:円) |
|
売上高 |
営業損益 |
研究費 |
経常損益 |
当期損益 |
年間配当 |
07/3 |
6,741 |
1,053 |
(1,083) |
1,105 |
706 |
120 |
08/3 |
7,343 |
177 |
(2,254) |
189 |
-170 |
130 |
増減 |
602 |
-875 |
(1,171) |
-916 |
-876 |
10 |
MGI Pharma 買収に伴う企業結合会計特有の処理を除外した場合 |
08/3 |
|
1,108 |
(1,380) |
1,119 |
707 |
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* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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