帝人の決算は増収減益となった。
合成繊維・化成品を中心に増収となったが、営業損益は化成品(PC、ポリエステルフィルム等)の減益やコーポレート研究費増により減益となり、更に海外のポリエステルフィルム合弁会社の減損損失増加によって営業外損失と特別損失が大幅に増加した。
連結決算 単位:億円(配当:円) | ||||||||||||||||||||||||
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セグメント別営業損益は以下の通り。(単位:億円)
06/3 | 07/3 | 08/3 | 増減 | 09/3予想 | ||
合成繊維 | 145 | 173 | 244 | 71 | ポリエステル繊維分野が大幅に改善、 高機能繊維分野(アラミド繊維、炭素繊維)好調 |
240 |
流通・リテイル | 53 | 54 | 53 | -1 | 55 | |
化成品 | 410 | 339 | 202 | -137 | 樹脂事業(PC)-85 フィルム事業 -51 (特に米国のフィルム分野) |
115 |
医薬医療 | 193 | 212 | 217 | 5 | 220 | |
IT・新事業 | 38 | 43 | 35 | -8 | 25 | |
全社 | -71 | -71 | -100 | -29 | コーポレート研究費が増加 | -125 |
営業損益計 | 768 | 751 | 652 | -99 | 530 |
営業損益の増減理由をみると、原燃料価格のアップが-200億円に対して販売価格変動は +30億円に過ぎない。
販売数量増による利益が+90億円。コスト削減が +140億円あったが、先行投入費用等 -140億円、税制変更による償却費増 -20億円で消された。
同社では2009年3月期予想でも、米国フィルム合弁苦戦、原燃料上昇・為替影響で樹脂続落とし、営業損益は更に半減する。
営業損益での減益に加え、米国及びルクセンブルグでのポリエステルフィルム合弁会社の固定資産の減損処理を実施したため、当期損失は大幅減益となった。
需要低迷や原燃料価格の高騰により、特に米国のフィルム事業を取り巻く経営環境は厳しく、急速な業績回復は難しい状態となったのが理由で、当期損益ベースで130億円の処理となった。
ポリエステルフィルム合弁会社の固定資産減損損失 | ||||||||||||||||
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帝人はポリエステルフィルム分野では、世界6カ国で米国デュポンと合弁事業を行っている。
今回の減損処理はこのうちの、米国とルクセンブルグのJV。
両社は2000年1月、折半出資により世界最大のポリエステルフィルムのグローバル合弁会社(Teijin DuPont Films)を設立した。
日本をはじめ、米国、欧州(ルクセンブルグ、英国)、アジア(インドネシア、中国)の6カ国に地域合弁会社が設立されており、工業用、包装用、磁気用の幅広い用途向けに、それぞれの地域のニーズに対応した高機能ポリエステルフィルム製品群を、地域の販売網を通じて販売している。
インドネシアは帝人子会社、中国はDuPont のJVで、それぞれを両社のJVに移した。
国 | 社名 | 出資比率 % | 備考 | ||
帝人 | DuPont | その他 | |||
日本 | 帝人デュポンフィルム | 50.1 | 49.9 | ||
米国 | DuPont Teijin Films U.S. | 49.9 | 49.9 | (*1) 0.2 | *1 帝人デュポンフィルム |
英国 | DuPont Teijin Films U.K. | 50.0 | 50.0 | ||
ルクセンブルグ | DuPont Teijin Films Luxembourg | 50.0 | 50.0 | ||
インドネシア | P.T. Indonesia Teijin DuPont Films | 50.1 | 49.9 | 元は帝人100%のP.T.Indonesia Teijin Films | |
中国 | DuPont Hongji Films Foshan (佛山杜邦鴻基薄膜) |
中国JV 51 | (*2) 49 | *2 佛山塑料集団(Foshan Plastics Group) DuPont 持株をDuPont Teijin Films China に移管 | |
(49.0) | (51.0) |
設立時にはこのほか、オランダに50/50のDuPont Teijin Films Netherlands があった。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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