中国、エチレン原料用ナフサの消費税免除

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中国国家税務総局は5月26日、エチレン、芳香族炭化水素原料用のナフサに係わる消費税を免除すると発表した。輸入ナフサも免税の対象で、輸入を促進させることでエチレン大増設による国内のナフサ不足を補う狙いがある。
ナフサの消費税は 0.2元/リットル(約3円)となっている。
2008年1月1日から遡及適用され、2010年末までとなっている。

同局が発表した管理規則によると、ナフサメーカーは、税務当局が発行する「ナフサ使用管理証明書」を需要家が所持していれば、消費税を徴収しない。ナフサメーカーはその後、同証明書に基づき、税務当局に消費税免除を申請する。

エチレン、芳香族炭化水素の原料以外の目的でナフサを販売する際は、従来通り消費税を徴収する。

中国ではエチレンの原料となるナフサの需要が急速に高まっている。

ナフサ不足といいながら、2007年には輸入量より輸出量の方が多い。
  輸入:1,068千トン(うち、韓国 993千トン)
  輸出:1,739千トン(うち、日本 914千トン、韓国 767千トン)

2008年には輸入量が輸出量を上回ると予想されている。

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中国の消費税は日本の消費税とは異なる。

日本の消費税に相当するのは増価税(VAT=Value Added Tax)で、農産品等一部が13%で、一般製品は17%となっている。

  詳細は 2006/9/26 中国、輸出増価税リベート変更 後半
        

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中国の消費税 (Consumption Tax) は、高級消費財、贅沢品、高級サービスの消費行為にかかる税金で、中国は1994年に煙草、酒・アルコール製品、化粧品、スキン・ヘアケア製品、貴金属・アクセサリー、爆竹・花火、ガソリン、ディーゼルオイル、自動車タイヤ、自動二輪車、自動車の11項目を消費税の課税対象に定めた。

2006年3月20日に「消費税政策の調整及び整備に関する通知」が公布された。消費税について社会の実態に合わせて税目及び税率を調整したもので、4月1日より施行された。

① 新設
  ゴルフボール及びゴルフ用品  10%
  高級腕時計  20%
  ヨット  10%
  木製割り箸  5% (天然資源保護)
  天然木床板  5% (同上)

  ナフサ  0.2元/リットル
  溶剤油  0.2元/リットル
  潤滑油  0.2元/リットル 
  燃料油0.1元/リットル 
   (以上4品目は
暫定的に本来納付すべき税額の30%で消費税を徴収、2008/1/1より法定税率適用)
  航空用ガソリン0.1元/リットル
   (但し、消費税の徴収を暫定的に見合わせ)

②廃止
  スキンケア・ヘアケア商品(一般日常用品化)
   (高級スキンケア類は化粧品として課税)

③税率見直し
  乗用車、オートバイ、自動車用タイヤ、蒸留酒
    ラジアルタイヤは消費税の徴収を免除

2008年1月、財政部と国家税務総局は消費税政策の健全化を図り、税収制度面の統一と公平を促すため、『一部製品油の消費税政策の調整に関する通知』を出し、暫定的に本来納付すべき税額の30%で消費税を徴収しているナフサ、溶剤油、潤滑油、燃料油に対して、1月1日から法定税率に基づいて消費税税率を適用することとした。

今回は、1月に税率を法定税率に引き上げたばかりのナフサについて、エチレン、芳香族炭化水素原料用を免税とするもの。

中国は上記の輸出増価税リベート変更や、輸出税の賦課など、状況に応じた政策実現のため、弾力的に税制を利用している。

    2006/11/4 中国、エネルギー・天然資源関連製品に輸出税 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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