インドネシア Chandra Asri の状況

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インドネシア最大の石化会社 PT Chandra Asri は同国のPPメーカー Tri Polyta の株式の 75.95% を取得する。
Chandra Asri の大株主のBarito group の総帥 彭雲鵬 (Prajogo Pangestu) が所有する Tri Polyta 株式のうち、5%を除き、Chandra Asri に譲渡する。残りは創業者一族が所有している。

Tri Polyta は1988年に設立され、1992年にPPの生産を開始した。現在の能力は36万トン。原料プロピレンはChandra Asri から購入している。

Tri Polyta 1996年8月に日本触媒、トーメンと45/50/5%出資のアクリル酸製造のJV PT Nisshoku Tripolyta Acrylindo を設立した。
2000年8月にトリポリタの所有する全持ち株を日本側が買い上げ、出資比率が日本触媒93.8%、トーメン6.2%となり、2001年1月には社名をNippon Shokubai Indonesia に改称した。

 

Chandra Asri の能力はエチレン 520千トン(現状は実質590千トン)、プロピレン 270千トン、LLDPE/HDPE 240千トン、HDPE 100千トン。

Chandra Asri は昨年、豊田通商からインドネシアのスチレンモノマー製造・販売子会社 PT.Styrindo Mono Indonesia の全株式を買収した。Styrindo Mono の原料エチレンはChandra Asri が供給している。

    
2007/3/31  ニュースのその後 Styrindo Mono Indonesia 

Chandra Asri は最近、2億ドルを投じてブタジェン工場を建設することを明らかにしている。能力は10万トンで、2011年上期の稼動を目指す。

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Chandra Asri
はスハルト元大統領の次男のバンバンのビマンタラ・グループ、合板王と呼ばれる彭雲鵬が率いるPT Barito Pacific林紹良が率いるサリム・グループからスピンオフしたナバン・グループが75%出資し、日本インドネシア石油化学投資(丸紅85%、昭和電工10%、TEC5%)が25%出資して設立された。    

    2006/4/26 インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-1
     
   

その後、紆余曲折の結果、インドネシア金融再編庁(IBRA)が融資の担保として現地側企業の持分を保有、その後、Barito GroupPT Inter Petrindo Inti Citra とマレーシアのGlazers & Putnam Investment に売却した。

他方、丸紅は2005年10月に、日本側持株をComerzbank International Trust (Singapore) Ltd に売却した。

丸紅は重点分野の事業として PT Barito Pacific と共同出資しているMusi パルプ事業の経営権取得を目的として、段階的に出資比率の引き上げを行なってきた。
Barito が債務リストラの一環として、大口債権者でBaritoに21%出資する Comerzbank に対し、Musiパルプ事業の関連資産への転換オプション付き社債を発行するとの動きが出てきたことから、懸案の「Chandra事業からの撤退」と、「Musiパルプ事業の経営権の取得」という2つの課題を同時に達成すべく、Comerzbank と交渉を行い、Chandra 株式とBarito社債を交換することとしたもの。

2006年1月、シンガポールの政府系投資機関のTemasek HoldingsChandra Asri の株式 50.45% を7億ドルで買収したと報じられた。(同社は発表していない)
Comerzbank の所有する 24.59% と Glazers & Putnam Investment Ltd.(マレーシア)の所有する 25.86% を買収したと言われる。

ここまでの株主の推移は以下の通り。

IBRA  75.41%  ー  ー  ー
PT Inter Petrindo Inti CitraBarito  ー 49.55% 49.55% 49.55%
Glazers & Putnam Investment Ltd.(マレーシア)  ー 25.86% 25.86%  ー
丸紅(日本インドネシア石油化学投資) 24.59%  ー  ー  ー
Comerzbank International Trust (Singapore)  ー 24.59% 24.59%  ー
Temasek Holdings  ー  ー  ー 50.45%

 

2007年11月、インドネシア当局は PT Barito Pacific Tbkが検討していた10億ドルの増資を承認した。
同社はこの資金の大半を使い、PT Chandra Asri の株式 70% を買収した。
PT Inter Petrindo Inti Citra
から14.6%を、マレーシアの2つの企業、Strategic Investment HoldingsMIH (Malaysian Issuing House Sdn Bhd)から55.4%を購入した。

(残りの30%を誰が持っているのか不明。また、マレーシアの2企業の株式取得の経緯、Inter Petrindo Inti Citra の当初の持株がどうなったのか等、不明。この時点でBarito はChandra Asli に関してInter Petrindo Inti Citraを通じて14.6%を所有しているだけ」としていた。経営悪化で手放した可能性がある。)

PT Inter Petrindo Inti CitraBarito 49.55% 14.6%  -
Temasek Holdings 50.45%  -  -
Strategic Investment HoldingsMIH  - 55.4%  -
PT Barito Pacific  -  - 70.0%
その他(不明)合計  - 30.0% 30.0%


いずれにせよ、Chandra Asri の経営権は、当初の株主の一人のPT Barito Pacific に戻ったことになる。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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