1984年12月にインドのBhopal のUnion Carbide 工場から有毒ガスが漏れ、その夜のうちに3,000人が死亡し、最終的に2万人以上が死亡した事件で、被害者や支援者が政府の対応を求めたデモが続いている。支援者は6月17日を行動と連帯のNational Day とし、全国で抗議活動を行なった。
米国下院の16名の議員もインドのSingh 首相に、この運動を支援するレターを出した。
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Bhopal のUnion Carbide 工場では殺虫剤のカルバリル(Carbaryl)を製造していた。この中間体のmethyl isocyanate(MIC)はホスゲンから製造するが、MICタンクに水が混入し、大量の有毒ガスが発生し、ガス洗浄装置が修理のため停止していたため、有毒ガスが漏れ続けた。
その夜のうちに3,000人が死亡し、最終的に2万人以上が死亡した。
現在もなお工場から漏れ出した化学物質による周辺住民への健康被害が続いており、10万人が慢性疾患で苦しんでいる。また、Union Carbide への訴訟や責任問題が未解決である。
Union Carbide のCEOは大規模な殺人事件の主犯とされたが法廷での審理に出席せず、インド政府は犯罪人引渡条約を締結している米国に引渡しを求めたが、引渡しは行なわれていない。
Union Carbide は2001年にDowに吸収合併された。
インド国営石油会社(IOCL)のエチレンコンプレックス建設時にEGについてダウ技術を採用したが、国民の間から"Don't fill your car with Bhopali blood" としてIOCLのガソリンの不買運動が起こった。反対運動家がこの技術がUCC技術であることを見つけ出し、IOCLと政府に伝えた結果、IOCLは2005年にダウとの契約を破棄している。
2006/6/5 インドのエチレン計画
2006年4月、Amnesty International はSingh 首相に公開書簡を送った。
現在まで、このガス漏出と、人々と環境に影響を及ぼし続けるような悲惨な結果について、誰の責任も追及されていない。
汚染された工場跡地はいまだに浄化されていない。その結果、有毒廃棄物が環境を汚染し続け、周辺地域が頼っている水を汚染している。
インド最高裁は2004年5月に州政府に対して、清潔な水を提供するようにとの命令を出したが、州政府はいまだに命令に完全には応じていない。ニューデリーでの化学肥料省の前で平和的にデモを行っていた300人の抗議者が拘禁された。少なくともそのうち2人の被害者は、警察に暴行され入院が必要になったと言っている。
以下のことを訴える: ・ 最高裁の命令に従い、被害を受けた地域に十分で安全な家庭用水の永続的な供給を保証すること; ・ 地下水と環境への更なる害を防ぐために迅速な工場敷地の浄化を保証すること; ・ 上記のデモ参加者への警備について迅速、公平で徹底した透明性のある調査を行い、警察による武力の使用が国内法と国際基準との整合性がとれているかを調査し、過度の武力の行使に関与したとされる人物は、責任を負うことを保証すること。
しかし、まだ水の供給は行なわれていない。
現在、被害者と支援者は次の2点を政府に要求している。
・対策委員会を設置し、30年間にわたって医療や経済・社会・環境面のリハビリを行なう資金を確保
・Dow Chemical と Union Carbide に対するリーガルアクション
政府からは何の反応もなく、6月9日には座り込みをしていた被害者がデリー警察に逮捕され、今も23名が拘束されたままとなっている。
米国下院の16名の議員が6月5日付けで Singh 首相に、この運動を支援するレターを出した。Ted Kennedy 上院議員の息子のPatrick Kennedyも含まれている。
事故から20年以上経つが、Bhopal では毒物汚染で毎月10-30名が死亡し、15万名が長期の健康被害に苦しんでいる。毒ガスの影響は次世代にも被害を与える。
2004年の最高裁の命令にもかかわらず、25千人が汚染された水を飲んでいる。
工場跡地はまだクリーンアップされておらず、環境を汚染し、飲み水を汚染している。更に毒ガス漏れやその影響について誰一人責任を問われていない。Union Carbide や Dow Chemical の役員が裁かれていないのはひどい。被害者は抗議や訴訟で繰り返し要求しているが、効果がない。
インド政府はUnion Carbide と Dow Chemical の民事・刑事責任を追及することを望む。海外での米国企業の行動(特に環境面)は我々の長い間の懸念である。
被害者たちは社会・経済・医療リハビリや汚染土壌のクリーンアップを行い、飲み水を提供する資金付きの対策委員会設置を求めており、当然のことだ。
インド政府がこれに応じることを望む。我々はBhopalの人びとを支援する。首相には是非、被害者たちと会い、要望を聞いてほしい。
このほか、世界中から支援の声とSingh 首相への対応要請が出されている。
1991年に、社会主義型計画経済を取り込んだ「混合経済」が行われていたインドが、保有外貨が底をついてデフォルト寸前の経済危機に落ち込んだ際に、産業・貿易の許認可制度を撤廃、公営企業が独占していた産業への民間参入、関税引き下げ、外国企業の出資制限の緩和などの広範な改革を行ない、今の経済発展につなげたのが、当時財務相であった Singh 首相である。
本件に関して首相が全く動かないのは理解できない。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
ひどいですね~
ぜひYes Men Fix the World (映画)を見てみてください。
とても面白い上、現実をうまく表しています。
このドキュメンタリー映画はAndy Bichlbaumが立ち上げたThe yes menの活動についてのもので、彼がパートナーであるMike Bonannoと共に世界中を周り大企業の多い“偽善社会アメリカ”を暴くという内容。
イエスマングループは、WT0(世界貿易機構)、ダウ・ケミカル、アメリカ合衆国住宅土地開発省などの有名な企業や団体になりすまし、「アイデンティティーの訂正」(大企業の悪業批判)を試みます。
例えばダウ・ケミカルのふりをしてBBCワールドニュース番組に出演し、1984年のBhopal工場が招いた悲劇のガス漏れ事件を「今度こそきちんとした処置を取る」などと宣言。
One day Andy, purporting to be a Dow Chemical spokesperson, gets on the biggest TV news program in the world and announces that Dow will finally clean up the site of the largest industrial accident in history, the Bhopal catastrophe. The result: as people worldwide celebrate, Dow's stock value loses two billion dollars. People want Dow to do the right thing, but the market decides that it can't.
ホームページ:http://theyesmenfixtheworld.com/index.htm