2008年5月30日、BHP Billiton は European Commission に対し Rio Tinto 買収の事前届出を行なった。
ECは7月4日までに、買収を認めるか、更なる審査を行なうかの結論を出す。
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2007年11月、BHP Billiton がRio Tinto に対して買収の提案を行った。
Rio Tinto の株式1株に対してBHP株3株を与えるという案で、1,400億ドル以上に相当する。
これに対し、Rio Tinto は買収価額が著しく安すぎるとし、拒否した。
2007/11/15 BHP Billiton がRio Tinto に買収提案
Rio Tintoの要請に基づき、英国公開買付パネルは 12月21日に決定を下した。
BHP Billiton は2008年2月6日までに、Rio Tinto に対してオファーをするか、しないかを伝えろというもの。
2007/12/29 BHP Billiton によるRio Tinto 買収提案のその後
BHP Billiton は期限の2月6日にRio Tinto に対し買収提案を行なった。
対価は当初の案を修正し、BHP株3.4株とした。
Rio Tinto は同日、これを拒否した。
BHP Billiton の提案を慎重に検討した。
若干の値上げはあったが、依然としてRio Tinto の価値、将来性を過小評価しているとして拒否する。
その後、両社の応酬があり、5月30日にBHP Billiton は European Commission に対し買収の事前届出を行なった。
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日本鉄鋼連盟は本年3月13日、公正取引委員会に対して、次ぎの理由で、本件の精査および、鉄鉱石・原料炭各市場における公正な競争を確保するための適切な措置の実施を正式に要請した。
BHPビリトンによるリオ・ティント買収が実現すると、鉄鉱石・原料炭両市場での一層の寡占化が進展し、特に鉄鉱石については、他に大きな代替ソースがないことから上位2社に供給を依存せざるを得ず、供給側における競争が実質的に制限され、公正な価格形成を損なうものと懸念する。原料価格の更なる高騰は、鉄鋼業界のみならず、需要産業ひいては消費者にも深刻な影響を及ぼしかねない。
今回の事前届出を受け、次ぎの声明を発表した。
両社の統合が鉄鉱石および原料炭の海上貿易市場における健全な競争を著しく阻害すると認識しており、今後は、日本高炉各社が主要関係国の独禁当局に対して異議申し立て等という形でその立場を主張していくこととなる。
鉄鋼業界は、今年度に入って、強粘結炭が昨年度比で3倍となった他、鉄鉱石が昨年度比65%を上回る大幅な値上げとなるなど、深刻な原料コストの高騰に直面しており、結果的に鉄鋼製品価格への転嫁を顧客にお願いせざるを得ないような事態に立ち至っている。鉄鋼製品は橋梁、建築物等の社会整備インフラから、日用品・自動車及びハイテク製品に至る基礎素材として幅広く利用されており、本統合により更なるコストアップも懸念され、わが国経済に与える影響は甚大なものと考えられることから、主要関係国の独禁当局に対して統合阻止を求めていきたい。
公取委事務総長は6月4日の定例会見で、以下の通り述べた。
我々としても強い関心を持っており、海外の競争当局とも連携をとりつつ、情報収集等に努めてきた。
引き続き、欧州委員会をはじめ、海外の競争当局と連携をとりつつ、情報収集、実態把握を行い、独占禁止法上の問題点の有無について、検討を進めていきたい。(現行法では)株式取得については、問題がないかどうかをチェックするために、取得後30日以内の届出を義務付けているだけ。
EU等諸外国と同じように事前届出にしようという改正法案を、今、国会に提出している。(下記)我が国市場に影響を及ぼすおそれも十分あり得るし、独占禁止法上の問題もあり得るため、十分慎重に検討していきたい。
こういう企業結合案件については、当事会社からいろいろと事情を聞く、あるいは資料を提出してもらうのに加え、競争業者、ユーザー等からヒアリングをしたり、資料を提出してもらうというような形で進めるのが一般的。
なお、独占禁止法の改正案は国会に提出されたが、まだ審議入りもしていない状況で、今国会での成立は難しい。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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