Denver, Colorado の裁判所は6月2日、Dow Chemical とBoeing に、核兵器工場のプルトニウム汚染による被害に対し合計 926百万ドルの罰金を課した。
18年前にコロラド州のRocky Flats核兵器工場の近辺の12千人の住民が被害(健康被害の懸念と住宅価値の下落)を訴えた集団訴訟で、 陪審員が2006年2月にDow Chemical とRockwell International (Boeing が1996年に買収)に責任があると判断したが、それに対して罰金を決めたもの。
判決は住民補償のため Dow に 653.3 百万ドル、Boeing に 508.1 million 百万ドルを命じたが、総額725.9百万ドルの頭打ちとした。別途、懲罰的賠償として、Dow に 110.8 百万ドル、Boeing に 89.4百万ドルの支払いを命じた。
Denver 北西25kmにあるRocky Flats 工場は米国の核爆弾のためのプルトニウム起爆装置を生産していたが、1953年~1975年にダウが、それ以後1994年の閉鎖まではRockwell が操業していた。
その間、火災事故、設備の漏れ、ルーズな貯蔵管理のため、プルトニウムや他の放射性物質が漏れる重大事故があった。
1989年にFBIとEPAが環境犯罪の疑いで工場の立入捜査を行い、最終的に閉鎖された。
プルトニウムに汚染された廃油や溶剤の容器が戸外に置かれていた。いくつかの容器が漏れて周辺の土を汚染し、それが風で風下に飛ばされたという。
政府はサイトのクリーンアップに70億ドルを投じた。現在は野生生物保護区となっている。
これに対して Dow は、契約上はDow も Boeing も免責となっていて、最終的にはエネルギー省が責任を持つべきものであるとし、控訴するとしている。
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