本年6月初めに、PetroChina 子会社の蘭州化学が甘粛省蘭州でアクリル酸とアクリレートの商業生産を開始した。
165百万ドルを投じたもので、能力はアクリル酸が80千トン、アクリレート(メチル、エチル、ブチル)が115千トンとなっている。
PetroChina が開発し権利を持つ、プロピレンの2段階酸化によるアクリル酸製造技術、連続エステル化によるアクリレート製造技術を使用している。
蘭州化学は年産1,050万トンの製油所と70万トンのエチレンコンプレックスを運営している。
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中国のアクリル酸(AA)及びアクリレート(AE)のメーカーと能力は以下の通り。(単位:千トン) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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藍星グループ子会社のShenyang Paraffin Wax Chemicalは三菱化学の技術を導入したもの |
最大のメーカーは SunVic Chemical Holdings のJiangsu Jurong Chemical で、AA 205千トン、AE 250千トンの能力を持つ。
2003年に創業者で会長のSun Liping が農薬原料のPMIDA (N-(phosphonmethy) liminodiacetic Acid)とシクロヘキサンの製造のため、Xiangshui Yinyan Chemical を設立した。
2004年に持株会社SunVic Chemical Holdings をシンガポールに設立(2007年2月に上場)するとともに、Jiangsu Jurong Chemical を設立して、Xiangshui Yinyanの事業を引き継いだ。
2005年にAAの第1期 40千トン、アクリレート(ブチル)60千トンが生産を開始。
2006年にAA第2期が完成し130千トン能力とし、アクリレート(メチル 40千トン、2EHA 40千トン)が生産を開始した。
2006年に第3期前半が完成し能力を150千トンとし、2007年末に後半が完成し、合計能力205千トンとした。
中国に200以上の需要家を持つとともに、アジア、欧州、北米、中南米に輸出している。
同社はこのほか、PMIDA とシクロヘキサンを生産している。
同社は従来、原料のプロピレンを中国や韓国のメーカーから購入していたが、原料遡及を目指し、このたび江蘇省塩城でプロピレン工場の建設を開始した。能力は年産23万トンで、2009年末の完成を目指す。
重油の流動接触分解によるもので、プロピレンのほか、ガスオイル、ガソリン、LPGを生産するが、プロピレン以外は外販する。
このほか、原料、製品の輸送のため桟橋と貯蔵設備を建設している。
同社では将来川下の誘導品に展開する計画で、高吸水性樹脂(SAP)、接着剤、紫外線カット塗料、ブタジェンスチレンラテックス、ポリアクリル酸ナトリウム塩などを検討している。
同社のCorporate Video http://sunvic.listedcompany.com/webcast.html
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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