英国の投資会社 Ashmore Group plc は22日、株式公開買付でフィリピン最大の石油精製会社 Petron の50.57%を取得することになったと発表した。
同社は5月にSaudi Aramco から40%分を550百万ドルで買収しており、比政府も財政赤字対策として国営石油会社PNOCの持分40%を手放さす意向を示していたため100%買収を目指したが、最終的に政府は手放さないこととした。
Petron 株はPNOC とSaudi Aramco が40%ずつ所有し、残り20%を上場していた。
Ashmore はAramco からの40%に加え、投資家から10.57%を146百万ドルで購入した。
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第2次大戦後、フィリピンの石油精製業は欧米石油メジャー主導で始まったが、比政府は1973年、石油製品の安定供給体制確立を目指し、国営石油会社Philippine National Oil Company(PNOC)を設立した。
1933年に Socony Vacuum Oil Company of New York とStandard Oil Company of New Jersey が Standard Vacuum Oil Company (Stanvac) を設立した。
1960年代初めにJVが解消され、Esso と Mobil に分割された。
1973年、Esso は事業を比政府に売却、これがPNOC となった。その後、Mobil も事業を PNOC に売却した。
1993年12月、石油産業構造改革の一環として国営石油会社PNOC の子会社で精製・販売を担当するPetron の民営化が行われ、Saudi Aramco が40%出資した。Aramco 出資により、サウジアラビアから長期契約ベースで原油が供給されるようになった。
Petron はBataan に日産18万バレルの製油所を持っている。
フィリピンには他に、Caltex とShell が製油所を持つ。
本年初にPetron のFCC と年産14万トンのプロピレンプラントが稼動した。同社はまた、本年末完成を目指してBTXプラントを建設している。(B: 22,800t/y、T: 15,000t/y、X: 220,000t/y)
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フィリピン政府は財政赤字対策として本年末にも PNOC のPetron 持ち株を売却することを検討していた。
本年3月、PNOC はAramco からPetron 株式をAshmore Group に売却したいとの意向の表明を受けた。
(Aramco は株式入手時の約束で、売却する際には比政府の了承を必要とする。)
Arroyo 大統領は、Aramco の方針が14年前の時点とは変わったことを認め、Aramco がPetron 株式売却後も、強力な商業関係を維持するとしていることは喜ばしいと述べ、 Ashmore についてもこれまでの金融やユーティリティ面での同国への投資を更に拡大するものとして歓迎した。
本年5月にAramco 持ち株がAshmore に売却された。
なお、今後、会長はPNOCから、社長はAshmore から出し、取締役は5人:5人になる。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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