ファイザー中央研究所、ラクオリア創薬株式会社としてスタート

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米国 Pfizer の研究開発グループの一翼を担ってきた愛知県の中央研究所は7月1日、ラクオリア創薬株式会社(RaQualia Pharma Inc.)として事業を開始した。

資本金は1000万円で、出資予定者は
・エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ
 (大和証券Groupのエヌ・アイ・エフベンチャーズと三井住友フィナンシャルGroupのSMBCキャピタルが合併)
Coller Capital(1990 年に設立された英国のプライベートエクイティの投資会社)
・その他投資会社7社
・ファイザー株式会社

出資額は111億円で、エヌ・アイ・エフが38億円を負担、32%の株式を持つ筆頭株主になり、ファイザーも22億円を出資し、19%の株式を保有する第三位株主として協力していく。
ファイザーでは「ラクオリアが研究を継承する一部の新薬候補品は、ファイザーが優先的にその後の開発や販売の権利を取得できる」としている。

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米国 Pfizer は2007年1月、今後取り組むべき優先事項を発表した。

 業績向上、将来の成功に向けたあるべき姿、そして株主利益の増大を目指して
  ・ 既存製品からの収益の最大化
  ・ 社内パイプラインと社外からの導入品を活用し、中・長期の成長の機会に投資
  ・ より低く柔軟なコスト基盤の実現
  ・ より小規模、集中的で事業責任のある組織の確立
  ・ Make Pfizer a great place to work

「より低く柔軟なコスト基盤の実現」のため、2008年末までに全世界の従業員の1割にあたる1万人を削減することとした。
(米国での営業組織の20%、ヨーロッパの営業組織の20%強、日本においては、医薬品事業の人員の15~20%の削減)
製造拠点を2003年時点の半分に相当する48カ所に絞り込むほか、研究開発では米国の3箇所を閉鎖し、名古屋工場にある中央研究所(愛知県武豊町)とフランスのAmboiseの研究所の閉鎖を検討するとした。

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これを受けて中央研究所の長久厚所長が中心となり研究者らが従業員による企業買収(EBO)を提案、米本社も閉鎖に伴う混乱や雇用不安を避けるためにも同研究所の独立を認めた。
当初は本年4月にスタートする計画であったが、世界的な株安などを背景に投資家集めが難航していた。

今回と似たケースに、先般、三井物産の米国のベンチャー投資会社 と米国投資会社 Boehringer Ingelheim に売却することとした Actimis Pharmaceuticals がある。
Actimis Pharmaceuticals, Inc. の元はバイエル薬品中央研究所の喘息領域部門で、バイエル薬品中央研究所の閉鎖に伴い、喘息領域主席研究員が中心にスピンオフしたものである。

    2008/6/24 三井物産ほか、バイオベンチャーをBoehringer Ingelheim に売却 

このほか、日本のEBOでは、旭電化(現ADEKA)が2000年6月、化学品の包装等加工事業の一部を製造ラインに携わる従業員に売却した。
グループ企業の再編を柱とする経営構造改革の一環で、退職金等を原資に従業員の出資による地域密着型の専門会社を鹿島・富士・三重・明石の4工場に設け、これに社員と加工業務を移管したもので、旭電化は一切出資していない。

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新会社は、自ら新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業で、グローバル研究開発型ライフサイエンス企業を目指す。

従業員は70人で、既存の研究施設や最先端研究機器を活用する。(中央研究所の研究者は約380人であった)

当初3年間は、探索研究と前臨床開発研究を中心にプロジェクトを推進し、4~5年目にはPOC(臨床効果の検証)までの臨床試験を実施できる組織へと事業の拡大を図る。

まず、「疼痛疾患」と「消化管疾患」の領域において6つの創薬研究プログラムを推進し、2008年度から継続して臨床開発候補品を創出し、開発ステージに進めていく。
また、世界中の製薬企業、大学、公的研究機関やベンチャー企業と積極的に提携・共同研究を進めていく。

長久社長は、「毎年2つの新薬候補品を生み出し、2010年12月期に売上高41億円を目指す」としており、2010年後半から2011年前半をメドに株式公開をしたいとしている。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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