東ソーや旭硝子など国内苛性ソーダメーカーはオーストラリア向け本年下期(7-12月)積み輸出価格を1トン495ドル(本船渡し)に引き上げた。Rio Tinto の100%子会社Comalco などとの交渉で決めた。
本年1-6月の価格はアルミナ精錬向けの需要が堅調で、需給が締まり、過去最高の300ドルとなったが、下期はこれより更に 65%も高い。(昨年までの最高は1991年下半期と1992年上半期の295ドル)
付記
メーカー各社はこれを材料に国内価格の値上げを行った。
需要家が一斉に反発したが、需給逼迫を受け、11月にはほぼ決着した。
ローリー輸送で中心値66,500円/トンと、85年9月(67,000円)以来の高値となった。
但し、世界経済の減速で、来年には需給緩和で反落の可能性がある。付記
2009年上期分は交渉が難航。
日本側は2008年11月に670ドルを提示、豪州勢は反発して購入希望価格も提示せず。
その後、アジアスポット市場が急落、中東や台湾メーカーが390ドルで決着。
2009年2月に入り、豪州側が390ドルの希望価格を提示、妥結に動き出した。
日本からの輸出はその70%が豪州向けである。豪州には多くのアルミナ工場があり、主にアルミナ製造用に使用される。
ボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造する。
アルミナの電解でアルミニウムができる。各社のアルミナ工場は 2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に の末尾参照
注) 輸出内訳は財務省貿易統計で、合計数量は下記のソーダ工業会の数値とでは差がある。
日本では塩ビが好調で、塩素主体で電解設備を稼動させるため、苛性ソーダが常に余剰となり、輸出でバランスをとっている。
輸出実績 (97%換算 千トン) ソーダ工業会統計 | ||||||||||||||||||||
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一時は米国品との競合で価格が下がり、FOBでゼロという時代もあった。
しかし、米国のソーダプラントが燃料の天然ガス高騰による採算悪化を理由に相次ぎ閉鎖され、輸出国だった米国が輸入国に転じたこと、中国でも経済成長を背景に苛性ソーダの需要が増えたこと、豪州でアルミナ生産の拡大により苛性ソーダ需要が急増したことなどから、上昇に転じた。
今回の値上げは大幅で、メーカーはこれを材料に国内価格の値上げを図る。
最近の塩ビの損益悪化で悩む各社にとっては好材料である。
しかし、アルミメーカーは資源価格高騰のなかで、この苛性ソーダ価格値上がりをアルミの価格に転嫁するのは目に見えており、日本に跳ね返る。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
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塩酸余りまくり・・・