官報の決算公告で、非上場会社の3月期決算を調べた。
(総会後速やかに、ということで、6月下旬からとなる)
予想以上の大きな利益を計上している会社があるのに驚く。儲かっていると思っていた会社が赤字転落していたり。
以前は膨大な枚数の決算公告を1枚ずつめくって調べたが(いつ公告するか分からないため大変)、今はパソコン検索で社名を入れれば、過去の分も含めて、その社の決算公告がすぐに見られる。
(官報購読者のみが検索できるが、東京都の図書館では無料で検索が可能)
しかし、上場会社の子会社でも官報に載っていない会社がある。最近になって(黒字転換してから)ようやく公告を行なった企業もある。
(有価証券報告書提出会社は公告不要。定款で日刊新聞紙に公告すると決める会社もある)
ーーー
7月9日の朝日新聞は以下の通り報じた。
デジタルテレビの視聴に必要なB-CASカードを独占的に発行する「ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ」が設立以来、会社法に違反して財務内容の公告を怠っていた。
(中略)
公共性が高い業務を担う同社だが、これまで売上高や利益、剰余金などの財務データをまったく公表してこなかった。会社法は、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表などを公告しなければならないと定め、公告を怠ると過料に処すと規定している。
これについて、磯崎哲也氏のブログ isologue は次のように述べている。
http://www.tez.com/blog/archives/001199.html
会社法の規定:
(計算書類の公告)
第四百四十条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。(以下略)(過料に処すべき行為)
第九百七十六条 (略)は、次のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき。
二 この法律の規定による公告若しくは通知をすることを怠ったとき、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。
(以下略)日本の株式会社100万社がすべて公告すれば、平均50日間くらいに分散されるとしても、1日の官報の厚さが2000ページ(電話帳3冊分)にもなる。(あり得ない)
9割の90万社が公告していないとして、罰金を1社当たり100万円ではなく、30万円(官報広告費6万円の5倍)を取っても、2700億円の収入になる。
「ほんとに数%しかちゃんと公告してないとしたら、まじめに公告してる会社がアホみたいじゃないですか。」
「登記のデータベースをサーチして、公告の方法が官報になってる会社の過去2年分くらいの官報データに該当する公告がなかったら過料の通知を印刷して送付すればいいだけ。」
「法務省さんというのは、法の下の平等を確保するお役所とお見受けいたしますので、何とぞよろしくお願いいたします。」
ーーー
確実な収入源なので、本当にやったらどうだろう。
もっとも実際に過料を取り出すと、全社が公告してパンクするので、公告掲載の方法を考える必要がある。
コンプライアンスが問題になるなかで、子会社や関係会社が明白な「商法違反」をしているということが明らかにされれば、それだけでも親会社にとって打撃となると思われる。
企業は子会社や関係会社がきちんと公告しているかどうか、チェックする必要があるだろう。
* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
コメントする